睡眠不足はお腹まわりの脂肪を増やす!?論文が紐解く腹部型肥満(内臓脂肪型肥満)の新常識とトレーナーの役割【睡眠×ダイエット×栄養戦略】

睡眠不足はお腹まわりの脂肪を増やす!?論文が紐解く腹部型肥満(内臓脂肪型肥満)の新常識とトレーナーの役割【睡眠×ダイエット×栄養戦略】

「睡眠不足でお腹が出る?」一見関係なさそうなこの2つに、科学が明確なつながりを示し始めている。最新の研究によれば、睡眠時間が6時間未満の人は、お腹まわりに脂肪がつきやすい“中央型肥満”のリスクが約22%も高まるという。体重は変わらなくても、健康リスクは確実に積み上がる。
本記事ではトレーナーとして見逃せないこの知見を、代謝やホルモンの観点からわかりやすく解説する。

「短い睡眠」がぽっこりお腹をつくる

体重はそれほど変わっていないのに、なぜかお腹まわりが気になってきた…。そんなクライアントはいないだろうか。

実はその背景に、“睡眠の短さ”が関係している可能性がある。

2024年の最新の系統的レビューとメタアナリシスにより、短い睡眠時間が「内臓脂肪型肥満」(中央型肥満)と明確に関連していることが明らかになった。

トレーニングや食事指導に加えて、「睡眠の質と量」への理解は、これからのトレーナーに欠かせないスキルである。

肥満には「種類」がある

一口に「肥満」といっても、その種類にはいくつかの分類がある。特に注目すべきは「内臓脂肪型肥満(中央型肥満)」であり、これは腹部、特に内臓まわりに脂肪が蓄積するタイプである。

見た目としては「ぽっこりお腹」が特徴的で、同じ体重でも内臓脂肪の多寡によって健康リスクが大きく異なる。

中央型肥満は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病と強く関連しており、体重だけでなく「脂肪がどこについているか」が健康を大きく左右する。

つまり、クライアントの体重が標準であっても、腹囲や内臓脂肪レベルの評価を見落としてはならない。

睡眠と代謝の密接な関係

睡眠は、単に「休む時間」ではない。身体の代謝やホルモン分泌、回復に深く関わる重要な生理機能である。

睡眠が短くなると、レプチン(満腹ホルモン)が減少し、グレリン(空腹ホルモン)が増加する。その結果、食欲が増し、夜間の過食や間食の原因になる。

さらに、睡眠不足はコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を増加させる。コルチゾールには内臓脂肪の蓄積を促進する作用があるため、慢性的な睡眠不足は内臓脂肪型肥満のリスクを高める要因となる。

特に減量やボディメイクに励んでいるクライアントにとって、睡眠の質が成果を左右する「隠れた変数」となりうる。

科学的根拠:短時間睡眠と内臓脂肪型肥満の関連

2024年に発表されたAli Kohanmooらの論文では、成人における睡眠時間と中央型肥満の関連について、11件の前向きコホート研究を対象にしたメタアナリシスが実施された。

その結果、1日6時間未満の短時間睡眠者は、7~8時間睡眠者と比べて、腹部肥満のリスクが約22%高くなるという有意な関連が認められた。

また、睡眠時間の短さは性別や年齢にかかわらず一貫してリスク因子として働いており、特に中年層(40代~60代)では影響が大きい傾向がみられた。

つまり、筋トレや食事だけでは思うようにお腹まわりの脂肪が落ちないという場合、睡眠が“見落とされたボトルネック”になっている可能性があるのだ。

現場で活かす睡眠指導の視点

トレーナーができる睡眠サポートは、医療的な介入ではなく、「生活リズムの最適化」と「睡眠習慣の提案」である。

以下に、実践的なポイントを整理する。

・睡眠時間の見える化

クライアントに1週間の平均睡眠時間を記録してもらい、6時間未満が続いている場合はリスクを共有する。

・寝る前の習慣をチェック

スマートフォンの使用、カフェインの摂取、遅い時間のトレーニングなどは睡眠の質を下げる。トレーナーとしては、21時以降の興奮刺激を減らすようアドバイスしたい。

・筋トレと睡眠の相乗効果

筋トレによって分泌される成長ホルモンは睡眠中に最も活発になる。適切なトレーニングと睡眠は、相互に回復と代謝を高め合う関係にある。

・睡眠と食事の連携

夕食の炭水化物を極端に制限しすぎると、セロトニンの材料が不足して入眠しづらくなる。トレーナーが「糖質制限」の指導を行う際は、睡眠への影響にも配慮が必要である。

「トレーニング・食事・睡眠」は三位一体

クライアントの成果を引き出すためには、「筋トレ」「栄養」「休養」の三本柱がそろってはじめて、身体は変わる。

睡眠不足によってホルモンバランスが崩れ、脂肪が落ちにくくなるという科学的事実は、トレーナーの指導方針に新たな視点を加えてくれる。

今後は、体重や食事内容だけでなく、「睡眠時間」「生活リズム」も視野に入れた総合的なアプローチが求められる。こうした科学的知見を基に指導できるトレーナーは、間違いなく信頼される存在になるだろう。

そして、クライアントの身体を預かるトレーナーこそ、正確な栄養知識と代謝理解が不可欠だ。「栄養コンシェルジュ」などの実践型資格を通じて、使える栄養学を体系的に学ぶことで、指導の質はさらに高まる。

いまこそ、睡眠も含めた“トータルな身体戦略”を提案できるトレーナーを目指してほしい。

参考文献:Ali Kohanmoo et al. Obes Sci Pract. 2024 Jun 4;10(3):e772. Short sleep duration is associated with higher risk of central obesity in adults: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies.

ぜひ一次情報となる論文を調べていただき、皆様それぞれの考察と解釈で科学的根拠(エビデンス)を応用するきっかけになれば幸いです。

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