糖質制限=痩せる。そんな常識に、科学が警鐘を鳴らしています。実は“極端な糖質制限”は、体重は落ちても寿命を縮める可能性があるという研究結果が発表されました。
クライアントにとっての最終ゴールは「見た目」だけではなく、「健康でい続けること」。その視点に立ったとき、トレーナーが身につけるべきは筋トレ指導だけではなく、“正しい食事設計”の知識です。
この記事では、最新の研究データをもとに、糖質と死亡率の関係、栄養素ごとの代謝的な役割、そして現場で活かせる実践的アドバイスまでを網羅。今こそ、糖質への誤解を正し、「栄養で結果を出すトレーナー」になるヒントを学びましょう。
「1日に必要なカロリーを守れば太らない」。これは一見正論だが、実は栄養学的には不十分である。
同じ摂取カロリーであっても、栄養素の組成によって身体への影響は大きく変わる。特に炭水化物(糖質)の割合は、エネルギー代謝、ホルモン分泌、身体組成の調整に密接に関与しており、ただ摂取カロリーを制限すれば良いというわけではない。
また、糖質が不足すると筋グリコーゲンの回復が不十分になり、トレーニングの質も落ちやすい。クライアントが「痩せたけど元気がない」となる背景には、こうした栄養の偏りが潜んでいる可能性がある。
三大栄養素(エネルギー産生栄養素)である糖質、脂質、たんぱく質は、同じカロリー量でも体内での代謝ルートが異なる。糖質は優先的にエネルギー源として利用され、脳や赤血球などはほぼ糖質を唯一の燃料としている。
脂質は高カロリー(1gあたり約9kcal)である一方、飢餓時のエネルギー貯蔵として活躍する。
たんぱく質は主に筋肉や臓器などの材料であり、代謝コストも高く(食事誘発性熱産生が約20~30%)、単なるエネルギー源ではない。
つまり、“糖質を減らせば痩せる”という単純な理屈は、実際の代謝メカニズムと一致しないことが多い。
アメリカの大規模なコホート研究「Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC) study」では、糖質摂取量が極端に少ない(40%以下)または極端に多い(70%以上)人は、死亡リスクが高いことが報告された(平均25年間の追跡調査)。最も死亡リスクが低かったのは、糖質比率が50~55%のグループであった。
さらに、糖質制限の代替として摂取される動物性脂肪やたんぱく質が多い食事は死亡率を上昇させる一方で、植物性食品に置き換えた場合は死亡リスクが低下することも判明している。
つまり、単に糖質量を減らすだけではなく、「何に置き換えるか」が健康に直結するという点は、トレーナーにとって重要な視点となる。
トレーナーがクライアントに対して行う食事指導では、「糖質を敵視しない」ことがまず重要である。
減量目的で糖質を削る際も、極端にならないよう50~55%程度の摂取比率を目安にし、食物繊維を含む全粒穀物や野菜、果物など血糖値の急上昇を避ける“質の良い糖質”を勧めたい。
また、糖質を減らした分を赤身の肉やバターなどの動物性食品に置き換えるのではなく、豆類やナッツ、オリーブオイルなどの植物性食品で補うことが健康面で有利である。
クライアントにとっては「痩せること」が目先のゴールであっても、トレーナーは「健康的に痩せ、維持すること」を中長期視点で設計する立場にある。
糖質=悪とする短絡的な考えを改め、代謝やホルモン、栄養素のバランスを理解したうえでの提案が必要不可欠である。
現代のクライアントは単なる見た目の変化ではなく、「健康になりたい」「元気になりたい」というニーズを強く持っている。そうしたニーズに応えるには、筋トレや有酸素運動と並び、“食事指導の質”がトレーナーの専門性を分けるカギとなる。
糖質制限のブームは一過性のものではないが、その「やり方」や「捉え方」は時代とともに変わる。科学的根拠に基づいた食事設計と、個々のライフスタイルに合った提案ができるトレーナーは、今後ますます求められる存在となるだろう。
だからこそ、今あらためて「栄養学を体系的に学ぶこと」は、プロフェッショナルとしての信頼を築く土台となる。
最新知見を味方につけ、クライアントの未来をデザインする力を養っていこう。
参考文献:Sara B Seidelmann.et al. Published in final edited form as: Lancet Public Health. 2018 Aug 17;3(9):e419–e428. Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis.
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