朝食を食べた「つもり」でパフォーマンスが上がる?論文が紐解く認知が運動能力に及ぼす科学的影響とトレーナーの活かし方【朝食×心理×運動】

朝食を食べた「つもり」でパフォーマンスが上がる?論文が紐解く認知が運動能力に及ぼす科学的影響とトレーナーの活かし方【朝食×心理×運動】

「朝食を食べた」と思うだけで、パフォーマンスが上がる?そんな意外な事実を示す研究が発表されている。実際に食べていなくても、「摂取した」と認識することで疲労感が軽減し、高強度運動の出力が上がるというのだ。朝食の栄養補給が身体の燃料として重要なのはもちろんだが、心理的な効果も無視できない。
本記事では、栄養素の役割と認知効果を科学的に整理し、クライアント指導にどう活かせるかを解説する。

「朝食を摂った」と思うだけで運動パフォーマンスが上がる

高強度のトレーニングや競技で、朝食がエネルギー補給に重要であることは広く知られている。しかし、最新の研究は驚くべき事実を示している。

それは、「実際に朝食を食べたかどうか」だけでなく、「食べたと認識しているかどうか」がパフォーマンスに影響を与えるということだ。

つまり、心理的な認知が運動時の出力や疲労感に影響し、結果としてパフォーマンスを左右する可能性がある。トレーナーがクライアントを指導する際、この知見を理解しているか否かで、指導の幅と成果が大きく変わる。

エネルギー補給と運動パフォーマンスの基本

運動中のパフォーマンスは、主に体内のグリコーゲン(肝臓や筋肉に貯蔵された炭水化物)と血中グルコースによって支えられている。

朝食を抜くと、夜間の断食により肝グリコーゲンが減少し、血糖値も下がった状態で運動を開始することになる。これにより、運動中の疲労感が増し、高強度のパフォーマンスが維持しにくくなることは従来から指摘されている。

一方で、食事を摂ったという認知が持つ心理的効果にも注目すべきだ。

人間の脳は、食事を摂ったと感じることで、実際には血糖やエネルギー供給に変化がなくとも、「エネルギーが満たされている」と錯覚し、疲労感の軽減やモチベーション維持に寄与する可能性がある。

栄養素と代謝の視点から見る「朝食効果」

朝食を構成する主要な栄養素は、糖質、たんぱく質、脂質である。それぞれの役割を理解しておくことは、パフォーマンスへの効果を最大化するうえで欠かせない。

① 糖質

即効性のあるエネルギー源であり、特に高強度運動時のパフォーマンスを支える。体重60kgの成人が30分の高強度サイクリングを行う場合、およそショートケーキ1個(約300kcal)に相当するエネルギーを消費するため、糖質補給は効率的な燃料供給になる。

② たんぱく質

運動後の筋修復や筋タンパク合成に必須であり、朝食で10~20gを確保することで回復をサポートできる。

③ 脂質

長時間の持久運動では重要だが、朝食での過剰摂取は胃腸への負担となり、運動時のパフォーマンスを低下させることがある。

トレーナーがクライアントに朝食指導を行う際は、これらの栄養素バランスを理解し、パフォーマンスと消化の両立を意識した設計が必要である。

研究が示した「認知効果」

Stephen A. Mearsらが2018年に発表した研究では、サイクリストを対象に「朝食を食べたと信じ込ませる」実験が行われた。

参加者の一部には実際に軽食を提供し、別のグループには「食べたと告げて実際には摂取していない」条件を設定。その結果、「食べた」と認識していたグループは、実際に食べていなくても高強度サイクリング中のパフォーマンスが向上し、疲労感が軽減した。

この結果は、単なる栄養補給だけでなく、心理的な認知や期待感が運動能力を左右することを示している。

トレーナーは、この認知効果を理解し、クライアントのモチベーションやセルフイメージを活用した指導を行うことで、実質的な成果を引き出せる。

現場で活かすための実践ポイント

トレーナーがこの知見を現場で活かすためには、以下のような工夫が考えられる。

・クライアントの朝食習慣のヒアリング

「朝は食欲がない」「胃が重い」という人には、無理に固形食をとらせず、スムージーや液体の栄養補給を提案することで、心理的な「摂取感」を与えられる。

・プラセボ効果を応用する

軽い補食でも「これでエネルギーが入る」と認識させる声かけを行うと、モチベーション維持や疲労感軽減に役立つ。

・運動目的に応じたメニュー提案

高強度運動なら糖質中心、筋肥大を狙う場合はたんぱく質も強化するなど、個別に栄養素バランスを調整する。

・栄養指導とメンタルサポートの両立

食事の内容だけでなく、「食べたことによる安心感」や「準備が整った感覚」を高めることで、運動パフォーマンスを後押しできる。

栄養と心理を理解することが、トレーナーの強みになる

今回の研究は、「栄養摂取」と「心理的認知」という二つの要素が、運動パフォーマンスに大きく影響することを示している。トレーナーは、単に「食べたか食べていないか」を問うだけでなく、クライアントが安心感を持って運動に臨めるようなサポートを行うことが重要だ。

そして、そのためには、栄養素の役割や代謝、心理的影響に関する科学的知識を習得する必要がある。体系的に学ぶことで、クライアントの成果を最大化できるだけでなく、トレーナー自身の専門性も飛躍的に高まる。

現場で使える栄養学を体系的に学びたい方は、「栄養コンシェルジュ」資格も活用できるだろう。「栄養学を学ぶこと」は、パフォーマンスと信頼を生み出す、現代トレーナーの必須条件である。

参考文献:Stephen A Mears et al.Int J Sports Physiol Perform. 2018 Apr 1;13(4):504-509.Perception of Breakfast Ingestion Enhances High-Intensity Cycling Performance.

ぜひ一次情報となる論文を調べていただき、皆様それぞれの考察と解釈で科学的根拠(エビデンス)を応用するきっかけになれば幸いです。

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