「たった1食の食事が、あなたやクライアントの運動効果を左右するかもしれません。」最新の研究で、高脂肪食(特に揚げ物やバター、加工肉など飽和脂肪酸の多い食事)を1食摂るだけで、血管の柔軟性や血流を調整する「血管内皮機能」が低下することが明らかになりました。血管機能の低下は、筋肉への酸素供給や栄養素の運搬を妨げ、持久力や回復力を低下させるだけでなく、長期的には動脈硬化リスクも高めます。
この記事では、トレーナーが知っておくべき脂質の種類ごとの体への影響、最新の科学的知見、そして現場で役立つ栄養指導のポイントを整理。運動指導と組み合わせた「食事戦略」で、クライアントの成果を最大化しましょう。
フィットネスクラブに通うクライアントの多くが「運動しているから多少の食事は大丈夫」と考えている。しかし、最新の系統的レビューとメタ解析(複数研究を統合した解析)によれば、たった1食の高脂肪食でも、食後の血管内皮機能(血管が拡張する能力)を有意に低下させることが示されている。
血管内皮機能の低下は動脈硬化や心血管疾患のリスク因子であり、トレーニングのパフォーマンスや回復力にも影響する可能性がある。
つまり、運動効果を最大化するためには、日々の食事、特に脂質の質と量への配慮が不可欠だといえる。
ダイエット指導で「摂取カロリー=消費カロリー」を基準とするのは正しいが、それだけでは健康やパフォーマンスを守れない。
血管内皮機能とは、血管の内側を覆う内皮細胞が一酸化窒素(血管拡張を促す物質)を分泌し、血流を調節する働きのことだ。これが低下すると、血流が悪化し、筋肉への酸素供給や栄養輸送が妨げられる。
高脂肪食を摂ると、食後の血中中性脂肪が急上昇し、酸化ストレスや炎症反応が増加。これが内皮細胞の働きを鈍らせ、血管が硬くなりやすくなる。
脂肪の割合が高い食事は血管機能に与える影響が大きいのだ。
脂肪はエネルギー源として重要だが、その種類や摂取量で体への影響は大きく変わる。特に、飽和脂肪酸(バターや加工肉などに多い)は、血中の中性脂肪や低比重リポタンパク質(LDLコレステロール)を増やしやすい。
一方、不飽和脂肪酸(青魚やナッツに含まれるオメガ3脂肪酸など)は、炎症を抑え、血管を守る働きがある。
研究によれば、高脂肪食の中でも飽和脂肪酸が多い場合、食後の血管内皮機能の低下が顕著であった。逆に、オリーブオイルや魚油のような不飽和脂肪酸を主体とした場合、悪影響は軽減される傾向が報告されている。
つまり、「脂肪を控える」だけでなく、「どの脂肪を選ぶか」がトレーナーの栄養指導に不可欠な視点となる。
系統的レビュー(2022年発表)によると、複数の臨床試験を統合した結果、高脂肪食を摂取した直後から数時間、血管内皮機能が有意に低下することが確認された。
この影響は特に飽和脂肪酸が多い食事で強く、運動後のリカバリーや持久力の発揮にも悪影響を及ぼす可能性がある。
血管がスムーズに拡張しない状態では、筋肉への酸素供給が滞り、持久力系のパフォーマンス低下や疲労の回復遅延につながる。さらに、長期的には動脈硬化の進行リスクを高めるため、フィットネスクラブ利用者が目指す「健康的な体づくり」に逆行しかねない。
では、現場でどのように指導すべきか。
① 高脂肪食を避けるタイミングを伝える
トレーニング前後の食事では、飽和脂肪酸の多い食事(揚げ物やファストフードなど)を控え、消化が軽く血流を妨げない食品を選ぶ。
② 脂質の「質」を教える
ナッツ、アボカド、青魚などの不飽和脂肪酸を取り入れることで、血管機能を守りつつエネルギー補給が可能。飽和脂肪酸が多い食品の摂りすぎに注意する。
③ 具体的な量の指標を示す
例えば、体重60kgの成人が1日の脂質摂取量をエネルギー比で25%に抑える場合、1日約50g(大さじ4杯分の油)を目安とする(1,800kcal/日の場合)。
④ 食後の運動指導に応用
高脂肪食後は血流が悪化するため、高強度トレーニングよりも低強度の有酸素運動を優先するなど、コンディションに応じたメニューを提案する。
最新研究が示すように、たった1食の高脂肪食でも血管機能を低下させ、運動効果を損なうリスクがある。だからこそ、運動指導に加えて「食事の質」を的確にアドバイスできることが、これからのトレーナーに求められている。
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トレーナーとして、ただ運動を教える人で終わるのか、それとも食と健康をトータルで導ける存在になるのか。今こそ学びを始め、クライアントの人生を支える真のプロフェッショナルへと進化してほしい。
参考文献:Juanita J Fewkes et al. Am J Clin Nutr. 2022 Sep 2;116(3):699-729.A single, high-fat meal adversely affects postprandial endothelial function: a systematic review and meta-analysis
ぜひ一次情報となる文献を調べていただき、皆様それぞれの考察と解釈で科学的根拠(エビデンス)を応用するきっかけになれば幸いです。
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