2ッ星栄養コンシェルジュ®の渥美有加です!
いよいよ妊娠後期の栄養についてお伝えしていきます!妊娠編最終回です。
妊娠後期とは、妊娠8ヶ月以降(28週)の時期のことを指します。いよいよ赤ちゃんと会える日も近づいて少しずつ母親になる自覚が湧いてくる方も多いはずです。
妊娠後期の栄養は基本的には中期と変わりませんが、お腹が大きくなって食欲がなかった方も赤ちゃんが少しずつ下がってくることで、以前よりも食べられるようになります。それが嬉しくて食べすぎてしまう人もいらっしゃるようですので、注意していきましょうね。
妊娠後期での注意点について私の経験も踏まえてお伝えしていきますので是非参考にしてみてください。
※本記事の目安量に関しては厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020版)」を元に記載しています。目安量については個人差がありますので、担当の医師や管理栄養士の指示に従いながら食事を調整しましょう。
妊娠後期とは、28週0日以降の時期を指します。いよいよ出産が近づいてきました。
この頃の赤ちゃんはしっかりと人の形になり、臓器も完成に近づいてきます。31週頃からは体脂肪もつき始めるのでふっくらと赤ちゃんらしくなってきます。
ただ、肺の機能が完成するのはおよそ34週頃と言われていますので、まだしばらくお母さんのお腹の中で過ごす必要があります。赤ちゃんが大きくなるにつれて赤ちゃんが必要とするエネルギーも増えていきますので、赤ちゃんのためにもバランス良い食事で必要な栄養素をしっかり摂取していくことが大切になります。
お母さんの身体はますますお腹が大きくなり、赤ちゃんが動く「胎動」を強く感じるようになります。赤ちゃんのために血流が多くなることで浮腫が出やすくなります。他にもこむら返りや、お腹の張り、動悸や息切れ、頻尿など様々な変化が起きてきます。
身体は大変かもしれませんが、出産まで後少し!母子ともに元気で出産できるように栄養をしっかり摂って体力をつけていきましょう。
妊娠中の体重の急激な増加によって、お母さんの身体に負担がかかりすぎると「妊娠糖尿病」や「妊娠高血圧症候群」という妊娠期ならではの病気を発症するリスクがあります。
特に妊娠後期では体重が大きく増える方も多く注意が必要となります。
妊婦検診で血圧や血糖値を測ってリスクを管理してくれていますが、どのような事なのか知っておくと良いでしょう。
糖尿病とは血液中にある血糖が細胞の中に上手に取り込めない状態のことで、「インスリン」というホルモンの働きが低下している(効きにくくなっている)ことが要因に挙げられます。非妊娠の時は肥満により体脂肪がインスリンの働きを妨げてしまうのですが、妊娠期にも同じくインスリンの働きが効きにくくなるため、糖尿病を引き起こしやすいのです。
妊娠糖尿病によってお腹の赤ちゃんも高血糖になり、出産や成長に影響が出る可能性があるのです。家族に糖尿病の方がいたり、肥満の方、高齢妊娠の方はリスクが高くなりますので注意が必要です。
妊娠初期頃の健診で血糖値が高いことがあったお母さんは、妊娠後期で再び血糖値が高くなりやすいため、食べ過ぎには十分注意してくださいね。また、野菜を最初に食べる「ベジタブルファースト」を実践することも血糖値の急激な上昇を抑えてくれるのでおすすめの食べ方です。
高血圧とは、血管にかかる圧力のことで、妊娠中は血流が増加するために血圧が上がりやすい状態にあります。
収縮期血圧(上の血圧と言われるもの)が140mmHg以上、拡張期血圧(下の血圧と言われるもの)が90mmHg以上を高血圧と言います。毎回の検診で血圧の測定を行いますが、血圧が高いと言われている方や、家族に高血圧の方がいる方、肥満の方、糖尿病がある方、高齢妊娠の方、双子などの多胎妊娠、初めての出産(初産婦)などの場合は注意が必要です。妊娠糖尿病と同じく、赤ちゃんの成長に影響が出るリスクがあります。
妊娠後期で体重が急激に増加することによって血圧が上がりやすくなりますので、家庭でも血圧を測定して高くなっていないかを把握しておくと安心です。妊娠後期に血圧が上がりすぎると早くに赤ちゃんを出産する必要が出てきてしまいます。出産をすることで血圧自体は多くの方で下がりますが、赤ちゃんの成長が未熟なままでの出産を迎えることになります。
血圧が高くなりやすい方は、体重が急激に増えないようにすることと、塩分を摂り過ぎないようにすることも効果的です。塩分を摂り過ぎると体内の水分量が増えるために血流がさらに増加して血圧を高くする可能性があります。
いずれにせよ、医療機関で定期的に検査を受け、担当医師や管理栄養士の指示に従いながら食事を調整しましょう。
妊娠中の体重の急激な増加が妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群のリスクが高まることをお伝えしました。ここで妊娠中の適正な体重増加の目安について確認しておきましょう。
以下の表は、厚生労働省が出している「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」に記載されているものです。
一般的に妊娠すると体重が10kgほど増えると言われますが、妊娠前の体格によって体重の増加量の目安が異なります。低体重の人はしっかり食べて体重を増やす必要がありますが、元々肥満の方は10kg未満の体重増加に抑える必要があるのです。
また妊娠期を通して、妊娠後期では赤ちゃんの成長が大きく、お母さんの体重が増加しやすい時期です。
この時期の目安としては1週間に300gから500gの体重増加が望ましいと言われていますので、妊娠期を通じての体重増加の目安と、妊娠後期での1週間ごとの体重の増加のスピード両方を見ながらコントロールできると良いですね。
ここまで、妊娠中の食事、栄養摂取のポイントについて、妊娠初期から後期と分けてお伝えしてきました。一人でも多くのお母さんの参考になっていれば嬉しいです。
妊娠から出産までお母さんも赤ちゃんも多くの身体の変化を経験するわけですが、その材料となるのは食事から摂る栄養素たちです。お母さんの食べたものがお母さん自身の身体にも使われますし、赤ちゃんの身体を作るためにも使われるのです。
お母さんがどのようなものをどれだけ食べるかで赤ちゃんの成長に影響し、お母さんの出産後の健康状態にも影響をしますので、これまでの記事も参考にしながら楽しく健康的なマタニティライフを過ごしてくださいね!
【TEXT:渥美有加、編集:廣瀬直樹】
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