2ッ星栄養コンシェルジュ®の渥美有加です!
前回の記事では妊娠期の女性の摂取エネルギーについてお伝えしましたが、今回は妊娠初期に気をつけるべき食事のポイントについてお送りします。
妊娠初期では「悪阻(つわり)」に悩まされる方が多く、なかなか食が進まない、食事を食べられないという方もいらっしゃるかと思います。反対に、妊娠中に摂取してはいけないものもあります。
妊娠期間中はお母さんと赤ちゃんは胎盤を通じて繋がっています。お母さんが食べたものが赤ちゃんの成長にも繋がるのはもちろん、お母さんの身体の状態も常に変化することから、工夫しながら食事を摂れるように私の経験も含めてお伝えします!是非参考にしてみてください。
※本記事の目安量に関しては厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020版)を記載しています。目安量については個人差がありますので、担当の医師や管理栄養士の指示に従いながら食事を調整してください。
「妊娠」とは、受精卵が子宮に着床することで成立します。この時から赤ちゃんは、お母さんが食べた食事(栄養)を送ってもらっています。
妊娠15周目頃までは赤ちゃんは「胎嚢(たいのう)」と呼ばれる袋のような部屋にいます。同じ部屋の中に「卵黄嚢(らんおうのおう)」という栄養が詰まった袋があり、赤ちゃんはここから栄養をもらっているのです。そして15週頃までに赤ちゃんとお母さんを繋ぐ「胎盤(たいばん)」が出来上がります。胎盤が完成することにより、お母さんと赤ちゃんが直接繋がり栄養を送ることが出来るようになります。この胎盤の完成とともに安定期に入ります。
栄養の送られ方は変わりますが、妊娠した時から生まれるまでずっと赤ちゃんはお母さんから栄養をもらっているのです。
妊娠初期とは、妊娠13週6日までの時期を指します。
この時期は前回の記事でも書いた通り、1日必要エネルギーは非妊娠期と比べて+50kcalです。食事量としてはおにぎり半分くらいのエネルギーを1日のエネルギーに追加するだけで良いことになります。
ここでは、胎児の成長のために特に必要となる妊娠初期の栄養素をまとめました。
【妊娠初期に意識したい栄養成分とオススメ食材】
① 葉酸(ようさん)
葉酸とは、水溶性ビタミンの一種です。非妊娠期では18歳から29歳の女性では1日あたり240μg必要です。妊娠中の女性ではこの2倍となる480μg/日の葉酸摂取が推奨されます。葉酸には以下のような働きがあります。
☑ 新しい赤血球を作る
☑ 胎児が細胞分裂を繰り返す中でDNAを合成する
葉酸は、胎児が成長するための必須栄養素の一つとして摂取が推奨されています。
特に妊娠初期に葉酸が不足することで神経管閉鎖障害と言われる先天異常のリスクが高まるため、必要量を目指して摂取したい栄養素です。
★葉酸を多く含む食材★
☑ ブロッコリー:約210μg / 100g
☑ ほうれん草:約210μg / 100g
☑ 枝豆:約320μg / 100g
などがあります。レバーにも葉酸が多く含まれますが、レバーはビタミンAが豊富です。妊娠初期にビタミンAを過剰摂取すると胎児奇形のリスクが高まることが知られています。そのため、葉酸はレバーからではなく、上記のような野菜から摂取すると良いですね。
野菜は大変低カロリーなので、妊娠初期の体重コントロールのためにもオススメです!
② 鉄分
鉄分は、胎児の血液の材料としてお母さんから送られます。そのため、妊娠中は初期から後期にかけて鉄の必要量がどんどん増えていきます。
女性では非妊娠期においても鉄分が不足しがちなので、妊娠中ではさらに貧血が進む方が多く、妊娠前から積極的に摂取したい栄養素です。
食事摂取基準2020年版では、18歳~29歳の女性では1日あたり6.0mg(月経中は10.5mg)の鉄分が必要です。妊娠中は胎児分の鉄分も必要になるので、妊娠初期で+2.5mg、妊娠中期と後期ではなんと+15.0mgもの鉄分を追加する事が望ましいのです。つまり1日あたりの鉄分必要量は21.0mgとなります。この量を毎日摂るのは本当に大変です。
私自身も妊娠初期から鉄分の摂取は意識していたものの、医療機関での検査で貧血を指摘されました。自分の体調としても、ぼーっとする、階段を上ると息切れする、疲れやすいなどの症状が常にあり、悩まされた症状の一つです。妊娠中期頃からは鉄剤も飲んでいましたが、妊娠中は鉄が不足しないようにずっと意識をしていました。
同じ症状でお困りのお母さんは是非参考にしてみてください。
★鉄分を多く含む食材★
☑ あさり(水煮缶) :約29.7mg / 100g
☑ 小松菜:約2.8mg / 100g
☑ 水菜:約2.1mg / 100g
☑ ほうれん草:約2.0mg / 100g
などがあります。
鉄分はレバーのイメージが強いと思いますが、豚のレバーよりもあさり缶の方が実は鉄分が多いのです!さらにレバーよりもヘルシーですので、妊娠中は積極的に活用したい食材です(レバーはビタミンAの過剰摂取にもなりますしね)。
また鉄分のうち、野菜に含まれる非ヘム鉄と言われる種類の鉄はレバーなどに含まれるヘム鉄と比べて吸収率が低いと言われています。
先ほどの摂取すべき目安量は非ヘム鉄の摂取を想定した目安量となっていますので、妊娠中は鉄分の多い野菜を目安量になるように摂取できると良いですね!
今回は妊娠中(特に初期)に摂取したい「葉酸」と「鉄分」についてお伝えしましたが、妊娠中はこの他にも必要な栄養素がありますので、色々な種類の野菜を積極的に召し上がってくださいね!
悪阻(つわり)は、妊娠初期に多くの妊婦さんが経験します。吐き気に悩まされ、つわりが酷くて食べられない・・・そういった辛い経験をされている妊婦さんは私の周りにもたくさんいました。それでも食べないと赤ちゃんが成長しないのでは・・と不安になる方もいらっしゃるかと思います。
妊娠初期では、赤ちゃんがまだ小さいため必要栄養量は微量であり、お母さんの食事バランスが多少偏っていても影響はほとんどないと言われていますので、無理して食べる必要はありません。食べられるときに少量ずつ食べてみましょう。嘔吐による脱水は大変危険ですので、水分をこまめに補給することをオススメします。
今回お話しした野菜などで、葉酸や鉄分を摂りたいけどなかなか食べられない場合は、スムージーにすると良いでしょう。水分補給もできますし一石二鳥です!
妊娠中の食事はどんな事に気をつけたら良いのか、初めての妊娠では特に戸惑う方も少なくないはず。妊娠のステージによって必要な栄養成分も必要量も異なってきます。
妊娠初期には追加すべきエネルギー(カロリー)はそれほど多くはありませんので、必要な栄養素を摂る際は野菜を中心に選ぶ事がポイントです!
今後、妊娠中期に必要な栄養成分についてもご紹介予定なので、是非読んでいただけると嬉しいです。
【TEXT:渥美有加、編集:廣瀬直樹】
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