本日は日本料理に欠かせない出汁(だし)について、その取り方や起源まで管理栄養士で調理師の土生亜衣先生にお聞きしました。
出汁の取り方・使い方を知り、実践できれば、お料理にうま味が加わりグッと美味しくなります。是非お試しください。
【準備するもの】お水に対して1%程の昆布(例えば水1リットルであれば昆布は10g)
手順①:昆布(こんぶ)は30分~1時間程前から、お水につけておく事でしっかり旨味を抽出することができます。この時、昆布に少し切り込みを入れておくと、旨味成分が出やすくなります。
※昆布の旨味成分はグルタミン酸とマンニットという成分です。昆布の表面についている白い粉が、マンニットといわれる旨味成分なので、汚れと間違えて洗い流さないようにしましょう。キッチンペーパーで軽く汚れを取る程度でOKです。
手順②:弱火~中火で火にかけて低温で旨味を抽出し、沸騰直前で昆布を取り出しましょう。沸騰させてしまうと、昆布に含まれる食物繊維のアルギン酸(ぬめり成分)が溶け出したり、臭みが出ることもあるので注意しましょう。
手順③:煮出した後の昆布を取り出した後は、臭みを取るために沸騰させて、ペーパーもしくはさらしに静かにこしたら《昆布だし》の完成です。
※水だしで一晩つけておいてもOKです。こうすることでお料理する時にそのままお鍋に入れて、沸騰させてから、鰹節を入れてだしを取ると《一番だし》が手早く取れます。
【昆布だしと相性が良いお料理】
☑ お鍋
☑ 煮物
☑ おでん
☑ 炊き込みご飯
☑ 精進料理
【準備するもの】お水に対して3~4%程のかつお節(例えば水1リットルであればかつおは30~40g)
手順①:お水を沸騰させて火を止めて、削りかつお(かつお節)を入れたら、1~2分火にかけて煮出します。この時、煮出しすぎると雑味が出るので注意しましょう。
手順②:アクが出てきたら取り除いて、ペーパーもしくはさらし静かにこしたら《かつおだし》の完成です。
※動物性のかつお節にはイノシン酸が豊富に含まれていて、昆布だしと合わせると、旨味の相乗効果でより美味しい《一番だし》が取れます。
【かつおだしと相性が良いお料理】
☑ お味噌汁
☑ お吸い物
☑ 煮物
☑ 茶碗蒸し
【準備するもの】お水に対して2~3%程の煮干し(例えば水1リットルであれば煮干しは20~30g)
手順①:まずは煮干しの頭と内臓を取り出しましょう。かなり手間ですが、臭みの原因になるのでしっかりと取り除きましょう。
手順②:分量のお水に20~30分程つけてから、火にかけます。
手順③:沸騰後、さらに2~3分煮出します。アクが出てきたらその都度すくい取り、ペーパーもしくはさらしに静かにこしたら《煮干しだし》の完成です。
【煮干しだしと相性が良いお料理】
☑ お味噌汁
☑ ラーメン
☑ うどん
【準備するもの】お水に対して3~5%程の干し椎茸(例えば水1リットルであれば干し椎茸は30~50g)
手順①:汚れを取り除いた干し椎茸を冷水に一晩つけるだけ!高温でだしを取ると雑味が出ることがあるので、火にかける必要はありません。
うま味をゆっくりだすのが理想です(急ぎの時はスライスしてOK)。
※旨味成分だけでなく、香り成分もあるので、お料理の使い道も豊富なおだしです。
【干し椎茸だしと相性が良いお料理】
☑ お味噌汁
☑ 炊き込みごはん
☑ そうめんつゆ
☑ 精進料理
【準備するもの】水と野菜
野菜だしは色んな種類を組み合わせると甘味も出ます。1度冷凍して使うことで、細胞が壊れてだしが溶け出しやすくなります。
※お水に対して、野菜がたくさんある方が旨味がとれます。
【野菜だしと相性が良いお料理】
☑ お鍋
☑ スープ
☑ 炊き込みご飯
出汁の記載が見られる書き物が登場するのは、江戸時代ですが、「煮出す」という調理方法は縄文時代から利用されていたそうです。食べ物を美味しくするコツをはるか昔から発見していたと考えると、だしの歴史は本当に奥深いですね。
地域によって出汁の違いがあるのも、当時の人々の暮らしの違いが関係していると言われています。
例えば、関東では肉体労働が多かったことから塩分を必要とし、味の濃い関東出汁が生まれました。関西では当時「天下の台所」だったこともあり、物資も手に入りやすかったことから、肉体労働をせず、薄味の出汁料理が広まりました。
お住まいの地域に根付いた出汁(郷土料理など)を調べてチャレンジするのもおすすめです。
普段から出汁を取ることは手間がかかりますが、簡易的な出汁パックを利用するなど工夫して、長い歴史がある「出汁(だし)」を食卓に取り入れてみてください☆
【TEXT:土生亜衣 編集:廣瀬直樹】
栄養コンシェルジュは、一般の方々はもちろん、医療従事者、アスリート、芸能人も取得する栄養学の資格です。
全国の専門学校の授業カリキュラムとして導入されており、さらに、病院で働く医療従事者のスキルアップやプロ野球チームにも導入されるなど高い信頼と実績があります。
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