ビタミン(vitamin)はmgや㎍というごく微量で私たちの身体の機能をサポートする有機化合物です。
エネルギー産生栄養素(三大栄養素)である糖質、脂質、たんぱく質に比べ、1日に必要な量は微量ですが、体内でほとんど合成されない(合成されても必要量には満たない)ことから、食品から必ず摂取しなければなりません。
今回ご紹介する「ビタミンB6」は、アミノ酸代謝に関与することから、肉・魚・大豆製品などたんぱく質食品を積極的に摂取する方、高たんぱく質食になりがちなトレーニーではビタミンB6の不足に注意が必要です。
本記事ではビタミンB6の代謝、欠乏症、多く含まれる食品などを分かりやすく解説します。
ビタミンB6は、水溶性ビタミンのビタミンB群の一種で、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンがあり、体内でリン酸化されピリドキシンリン酸(PNP)、ピリドキサールリン酸(PLP)、ピリドキサミンリン酸(PMP)となります。
ビタミンB6の生理機能は多岐にわたりますが、主にアミノ基転移酵素の補酵素として働くことからアミノ酸代謝(タンパク質代謝)に関与します。
体内のアミノ酸代謝は、たんぱく質摂取量が増えると活性化するため、高たんぱく食になるほどビタミンB6の摂取量(必要量)は増加します。
また、ビタミンB6はグリコーゲンホスホリラーゼの補酵素としても働くことから、筋肉に貯蔵されているグリコーゲン分解からのエネルギー産生にも関わります。
このことから、たんぱく質食品をたくさん食べる方や、アミノ酸代謝が活発になるトレーニーやアスリートではビタミンB6が不足しないように注意が必要です。
ビタミンB6欠乏症は皮膚炎(脂漏性皮膚炎)や、末梢神経障害、舌炎、口角炎がありますが、①ほとんどの食事にビタミンB6が含まれている、②微量ですむ微量栄養素であることから食事によるビタミンB6欠乏症は起こりにくいことで知られます。
ビタミンB6を過剰に摂取すると感覚性ニューロパシー(末梢神経障害や感覚障害など)が起こることがあるため、食事摂取基準でも上限量(0. 86 mg/kg 体重)が設けられています。
サプリメントなどで一度に大量に摂る場合は、そのリスクも把握しておきましょう。
茶碗蒸しなど様々な料理に利用されるイチョウの種子「銀杏(ぎんなん)」。実は食べ過ぎると痙攣(けいれん)や嘔吐、意識障害を引き起こす恐れがあります。
原因は、銀杏に含まれるビタミンB6に似た化合物「4-O-methylpyridoxine(4-O-メチルピリドキシン)」。この化合物がビタミンB6の働きを阻害することでビタミンB6の欠乏症が起こります。
銀杏中毒は特に小児で起こりやすいため、大人ではよほど食べ過ぎない限り心配はありません。
※銀杏が悪い食べ物ということではなく食べ過ぎることが問題です。どんな食べ物でも食べ過ぎや食べなさすぎには注意しましょう。
ビタミンB6は、にんにくや豆類など植物性食品、レバーや魚介類など動物性食品に多く含まれています。
水溶性ビタミンの一種であり、茹ですぎると失われやすいことで知られます。
基本的に、偏食がなく、多品目をバランスよく摂取しておけば、ビタミンB6が欠乏することはほとんどありません。
ビタミンB6は、ごく微量で身体の生理機能を調節するため、通常のバランス食であればビタミンの不足はさほど気にすることはありません。
ただし、たんぱく質摂取量が多くなるトレーニーやアスリートではビタミンB6の不足を避けるために、積極的に食事を工夫しましょう。
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