アスリートが積極的に摂りたい微量栄養素「ビタミンB1」を解説!糖質摂取とビタミンB1,ビタミンB1の欠乏性, 解糖系とTCA回路, オリンピック, スポーツ栄養学, 食の資格「栄養 コンシェルジュ」監修

アスリートが積極的に摂りたい微量栄養素「ビタミンB1」を解説!糖質摂取とビタミンB1,ビタミンB1の欠乏性, 解糖系とTCA回路, オリンピック, スポーツ栄養学, 食の資格「栄養 コンシェルジュ」監修

ビタミン(vitamin)はmgや㎍というごく微量で私たちの身体の機能をサポートする有機化合物です。
エネルギー産生栄養素である糖質、脂質、たんぱく質に比べ、1日に必要な量は微量で済みますが、体内でほとんど合成されない(合成されても必要量には満たない)ことから、食品から必ず摂取しなければなりません。
今回ご紹介する「ビタミンB1」は、糖質からエネルギーを産生する際に補酵素として働きます。したがって、米・パン・麺など糖質食品をたくさん摂取する方、糖代謝が活発なアスリートではビタミンB1の不足に注意が必要です。
本記事ではビタミンB1の代謝、欠乏症、多く含まれる食品などを分かりやすく解説します。

ビタミンB1とは?生理機能を解説

ビタミンB1(化学名:チアミン)は、水溶性ビタミンのビタミンB群の一種で、糖代謝(グルコース代謝)や分岐鎖アミノ酸代謝の補酵素として働きます。つまり、エネルギー代謝に関与するビタミンです。

具体的には、解糖系で産生されたピルビン酸や、クエン酸回路(TCA回路)のα-ケトグルタル酸の代謝反応をサポートし、糖質からエネルギーを産生する際に必須とされるビタミンです。

このことから、糖質食品をたくさん食べる方や、糖代謝(エネルギー代謝)が活発になるアスリートでは不足しないように注意が必要です。

※お菓子の食べ過ぎや、甘いジュースの多飲でもビタミンB1の必要量が増えるので、間食の内容にも注意しましょう。

ビタミンB1の欠乏症(脚気、ウェルニッケ-コルサコフ症候群)

☑ 脚気(かっけ)

【原因】白米中心の食事

ビタミンB1の欠乏症です。糖代謝や神経系の機能に働くビタミンB1が不足することで全身の倦怠感や食欲不振が起こります。重症化すると心不全(むくみ)や末梢神経障害(しびれ)を引き起こし、最悪の場合は死に至ります。

脚気は、ビタミンB1を摂取することで治療や予防が可能になります。

 

☑ ウェルニッケ-コルサコフ症候群

【原因】アルコール多飲、偏食

ビタミンB1の不足によって起こるウェルニッケ脳症と、その後遺症であるコルサコフ症候群のことをいいます。

症状として意識障害、眼球運動障害、失調性歩行(ふらつき)、意識障害などが知られており、原因はアルコール依存症が大半を占めています。栄養不良や消化管手術後でも起こる可能性があります。

スポーツ栄養学から考えるビタミンB1の必要性

スポーツ選手は、トレーニングにより消費したエネルギーを食事で補う必要があるため、糖質(主食)の摂取量が多くなります。糖質に偏った食事では糖代謝を助けるビタミンB1の必要量が増えますので、不足しないように注意しましょう。

ポイント:糖質に富んだ食事をする場合はビタミンB1の必要量が増加すると覚えておきましょう。

また、トレーニングを行うと、体に蓄えた糖質が分解され、身体を動かすエネルギーとして利用されます。ここでもビタミンB1が使われるため、不足しないように注意しましょう。

不足した場合、ピルビン酸がアセチルCoAに代謝されにくくなり、乳酸の生成が高まり、乳酸アシドーシス(乳酸により体が酸性に傾く)のリスクとなります。

 

つまり、スポーツ選手では①糖質摂取量が多くなること、②糖質を積極的に分解してエネルギーを獲得することから、ビタミンB1が不足しないように注意する必要があります。

ビタミンB1が多い食べ物、食品

ビタミンB1は、米のぬか・米の胚芽に多く含まれていますが、精米する過程でなくなってしまうため白米が含むビタミンB1量は少なくなります。

ポイント:精白しない玄米はビタミンB1を多く含んでいます。

緑黄色野菜、のり、ナッツ、ごま、大豆製品に多く含まれ、動物性食品では豚肉やウナギに多く含まれています。

基本的に、偏食がなく、多品目をバランスよく摂取しておけば、ビタミンB1が欠乏することはほとんどありません。

まとめ

ビタミンは、ごく微量で身体の生理機能を調節するため、通常のバランス食であればビタミンの不足はさほど気にすることはありません。

ただし、食事摂取量や運動量が多くなるアスリートではビタミンB1の不足を避けるために、積極的に食事を工夫しましょう。

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