たんぱく質・エネルギー低栄養状態(PEM:Protein energy malnutrition)は、たんぱく質および糖質、脂質によるエネルギー供給が不足した状態をいい、主に①クワシオルコル型、②マラスムス型、③クワシオルコル-マラスムス型の3つに区分されます。
本記事では、健康で生きていくために必要な量の栄養素が摂れていない低栄養状態「PEM」の3分類について解説します。
PEM(Protein energy malnutrition)とは、健康で活きていくために必須である「たんぱく質」と「エネルギー」が十分にとれていない状態をいいます。
私たちの体の構成成分のうち、水分の次に多いのがタンパク質です。骨格筋や内臓、酵素、ホルモン、髪の毛、爪にいたるまでタンパク質で構成されています。つまりタンパク質は生命維持に不可欠なのです。
歳を重ねるごとに食事摂取量が減ったり、食事に偏りが起こりやすく、必要なたんぱく質とエネルギーが不足してPEMのリスクが高まると考えられており、検査をするなどしてPEMを早期発見・予防することが重要となります。
PEMは3つの区分があり、その1つがクワシオルコル(kwashiorkor)型です。
クワシオルコル型は、たんぱく質が欠乏した状態であり、エネルギーの不足には問題がないタイプをいいます。主に小児に見られますが、成人でも外傷やストレスで起こることがあり、血清アルブミン値の低下がみられます。
体重減少はあまりなく、低アルブミン血症による浮腫みがみられます。
2つ目がマラスムス(marasmus)型です。
マラスムス型は、慢性的にたんぱく質とエネルギーの欠乏が起こっている状態で、特にエネルギーの欠乏が強いタイプをいいます。成人では極端な食事制限などでたんぱく質とエネルギーが長期間不足したときに起こりやすくなります。
慢性的にエネルギーが欠乏することにより、骨格筋や体脂肪が消耗して体重が減少します。血清アルブミン値はそこまで大きく低下しません。
3つ目はクワシオルコル型とマラスムス型の混合型です。
骨折、感染症、発熱、手術でタンパク質の栄養状態が低下した後に、食事摂取量が不足することで起こります。主に高齢者に多くみられるタイプです。術後の侵襲(ストレス)などで、必要エネルギー量やたんぱく質量が亢進しますが、食欲が低下してしまい低栄養状態となってしまいます。
血清アルブミン値の低下と体重の減少の両方がみられます。
食べ物がいつでも、どこでも手に入る飽食の時代となり、私たちの食生活は豊かといえます。
しかし、高齢者の割合が増えている現代において「低栄養」も問題になっていることを忘れてはいけません。
歳を重ねるほどに、食生活や運動習慣を見直し、低栄養状態にならないように健康寿命を延伸していきたいですね。
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