「国内で未承認の添加物」が含まれていたとは? メチルパラベン/PEGエステル類を制度と科学で整理する(栄養学の資格 栄養コンシェルジュ 監修)

「国内で未承認の添加物」が含まれていたとは?  メチルパラベン/PEGエステル類を制度と科学で整理する(栄養学の資格 栄養コンシェルジュ 監修)

2026年1月、ロッテ社はガム3品目について、原材料として使用していた「エンドウたんぱく」に、国内で食品への使用が認められていない添加物(メチルパラベン、PEGエステル類)が含まれていたことが判明したとして、自主回収を発表しました。ロッテ社は、当該添加物は米国では食品への使用が認められており、健康影響は極めて低いと考えていること、現時点で健康被害報告がないことも併せて公表しています。このニュースに触れると、「未承認=危険なの?」と不安になる方もいるかもしれません。ただし、食品添加物は“危険か安全か”だけでなく、“その国の制度上、使用が認められているか”という観点も重要です。
そこで本記事では、今回名前が挙がった2つの成分を、制度(承認)と科学(評価)の両面から整理します。

まず押さえたい:日本の「使用できる食品添加物」の考え方

日本では、食品添加物は原則として、指定(または既存添加物等の枠組み)としてリスト化されたものだけが使用可能というルールで運用されています。

つまり、ニュースで言う「国内で使用が認められていない」は、まず第一に“日本の許可リストに載っていない(=制度上、食品に使用できない)”という意味合いで理解するのが出発点になります。

メチルパラベンとは? どんな物質?

メチルパラベンは、いわゆるパラベン類(p-ヒドロキシ安息香酸エステル類)の一つで、保存料(防腐目的)として使われることがある成分です。JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)のデータベースにも掲載されています。

安全性評価の代表例(ADI)

JECFAでは、メチルパラベン等についてADI(許容一日摂取量)を示しています(データベース上の評価として、メチルパラベンはADI 0–10 mg / kg 体重 / 日と記載)。

米国での位置づけ(例)

米国では、メチルパラベンは食品用途での位置づけが規定されている例があります(連邦規則集 eCFR に条文あり)。

ここで大事なのは「米国でOK」=「日本でも自動的にOK」ではないという点です。

各国で、評価の経緯・用途・許容量・制度が異なります。

PEGエステル類とは?

「PEGエステル類」は “総称” で、具体物質の特定が必要

報道で使われる「PEGエステル類」という表現は、一般にポリエチレングリコール(PEG)に脂肪酸が結合したエステル(PEG脂肪酸エステル)などを指すことが多い一方、どのPEG(分子量)×どの脂肪酸なのかで別物になります。

米国FDAのデータベースには、PEG(MW 200–600)脂肪酸エステルのように、ある程度特定された形で “食品接触物質(間接添加物)” として情報が載っている例があります。

PEGそのものの国際評価例

PEG(E1521)については、欧州EFSAが評価・ばく露評価の文書を出しており、JECFAでの評価(1979年)に言及があります。

ただし今回の報道は「PEGそのもの」ではなく「PEGエステル類」であり、PEGの評価=PEGエステル類の評価と短絡はできません。

「未承認」でも健康影響が“直ちに大きい”とは限らない理由

今回ロッテ社が述べている通り、健康影響は極めて低い可能性はあり得ます。

なぜなら、一般に食品添加物のリスク評価は、

・動物試験などから無毒性量(NOAEL)を見積もる

・ヒトへの適用で安全係数を取る

・その上でADI等を設定し、摂取量がそれを超えないか確認する

というプロセスで行われます(例:JECFAの枠組み)。

一方で、今回のポイントは「危険性」より先に「制度上の適合」が問題になっているという整理が現実的です。

日本では許可リストに基づく運用が基本で、そこから外れると回収等の対応が必要になり得ます。

読者が今日できること

・該当商品の回収情報は、メーカーの公式案内を確認

(対象商品、受付方法、問い合わせ先など)

・体調不良がある場合は、因果関係を決めつけず、医療機関へ相談

※本件に起因する健康被害報告は現時点でないとされていますが、個別事情は別です。

・SNS情報は “断定” が増えやすいので、一次情報(公式発表・公的機関・国際評価)に戻る

まとめ

・今回話題になった メチルパラベン/PEGエステル類は、報道・公式発表では「日本国内で食品への使用が認められていない添加物」とされています。

・日本の食品添加物は、基本的に許可リストに載るものに限定して使用されます。

・一方で、国際的にはメチルパラベン等について ADIなどの評価枠組みが存在します。

・「PEGエステル類」は総称になりやすく、具体物質の特定が重要。PEG(E1521)やPEG脂肪酸エステルは海外資料に情報がありますが、混同は禁物です。

ニュートリジェンスでは今後も、ニュースを “怖がるため” ではなく、制度と科学を理解して落ち着いて判断するための形で整理していきます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「国内で使用が認められていない添加物」とは、危険という意味ですか?

いいえ、必ずしも「危険」という意味ではありません。日本では、食品添加物は「安全性評価が行われ、指定されたもののみ使用できる」というポジティブリスト方式で管理されています。

そのため、国内で使用が認められていないとは、まず「日本の制度上、食品への使用が許可されていない」という意味であり、直ちに健康被害が生じることを示す表現ではありません。

Q2. 海外(米国)で使われているなら、日本でも問題ないのでは?

各国で制度・評価の経緯・用途の想定が異なります。

たとえば、

・米国では使用が認められている

・日本では申請・指定がされていない

というケースは、食品添加物に限らず珍しくありません。

これは「安全性評価の有無」ではなく「制度上の承認プロセスの違い」によるものです。

Q3. メチルパラベンは安全なのですか?

メチルパラベンについては、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)によりADI(許容一日摂取量:0–10 mg / kg体重 / 日)が設定されています。

これは、一生涯、毎日摂取しても健康への悪影響がないと考えられる量を示す指標です。ただし、日本では食品用途としての指定がされていないため、制度上は食品への使用ができません。

Q4. PEGエステル類とは何ですか?

「PEGエステル類」は総称的な表現であり、

・どのPEG(分子量)か

・どの脂肪酸と結合しているか

によって別の物質になります。そのため、PEG(E1521)の評価情報を、そのままPEGエステル類に当てはめることはできません。

評価や安全性を論じるには、具体的な化学物質の特定が不可欠です。

Q5. 今回の件で健康への影響はありますか?

ロッテ社は公式発表において、健康への影響は極めて低いと考えており、現時点で健康被害の報告はないとしています。

現時点で、本件に起因すると確認された健康被害の報告はありません。

ただし、体調不良などがある場合は、因果関係を自己判断せず、医療機関へ相談してください。

Q6. 「未承認=すぐ回収」になるのはなぜですか?

日本の食品添加物制度では、使用が認められていない添加物が食品に含まれていた場合、回収等の対応が必要になります。

これは、健康被害が出たかどうかではなく、制度への適合性(法令遵守)が判断基準となるためです。

Q7. 食品添加物は避けたほうがいいのでしょうか?

食品添加物は、

・保存性

・品質の安定

・流通・加工の効率化

を目的に使われるもので、健康のために摂取するものではありません。一方で、ADIなどの評価に基づき管理されている範囲で、通常の摂取による健康被害が確認されていないものも多いというのが科学的整理です。

「ゼロにすべき」「全く問題ない」と二択で考えるのではなく、制度・評価・摂取量を理解した上で判断することが大切です。

Q8. 情報はどこを見れば信頼できますか?

以下のような一次情報を基準に確認することをおすすめします。

・メーカー公式発表

・厚生労働省・消費者庁などの公的機関

・WHO/JECFA/EFSAなど国際評価機関

・査読済み論文・専門データベース

SNSや切り抜き情報は、「制度の話」と「健康影響の話」が混同されやすいため注意が必要です。

まとめ(FAQの要点)

・「未承認」は制度上の話であり、即「危険」とは限らない

・国ごとに食品添加物の承認ルールは異なる

・メチルパラベンには国際的な安全性評価(ADI)が存在する

・PEGエステル類は総称であり、物質特定が不可欠

・現時点で健康被害の報告はないと公式に説明されている

ニュートリジェンスでは、今後もニュースを不安を煽る形ではなく、冷静に理解するための知識として整理していきます。

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栄養や健康に関する最新情報をお届けするメディアサイトNutrigence®(ニュートリジェンス)スタッフです。

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