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「米こうじ」が肥満抑制に寄与?ボディメイク現場で注目される発酵食品の可能性【トレーナーが知っておきたい体脂肪・血糖管理と栄養戦略】

「朝食を食べた」と思うだけで、パフォーマンスが上がる?そんな意外な事実を示す研究が発表されている。実際に食べていなくても、「摂取した」と認識することで疲労感が軽減し、高強度運動の出力が上がるというのだ。朝食の栄養補給が身体の燃料として重要なのはもちろんだが、心理的な効果も無視できない。
本記事では、栄養素の役割と認知効果を科学的に整理し、クライアント指導にどう活かせるかを解説する。

「米こうじ」が体脂肪の増加を抑える可能性

近年、発酵食品の健康効果が再び注目を集めている。その中でも、味噌や日本酒の原料として知られる「米こうじ」が、体脂肪や体重の増加を抑え、血糖値の上昇を防ぐ可能性があるという研究結果が報告されている。

単なる“伝統食品”としてではなく、ボディメイクや健康維持を目的とした栄養戦略の一つとして活用できるかもしれないのだ。

フィットネスジムのトレーナーにとって、クライアントの体脂肪や血糖コントロールをサポートするために、こうした科学的知見をどう活かすかが問われている。

肥満と血糖管理の基本的な理論

肥満や体脂肪の増加は、摂取カロリーが消費カロリーを上回る「エネルギー収支の不均衡」が根本的な原因である。しかし、それだけでは説明できないことも多い。特に、血糖コントロールの乱れが食欲や脂肪蓄積を促進するメカニズムに関与している。

血糖値が急激に上がると、インスリン(血糖を下げるホルモン)が大量に分泌される。インスリンは血糖を細胞に取り込むだけでなく、脂肪合成を促進する作用を持つ。そのため、血糖値の急上昇と乱高下は体脂肪の蓄積を招きやすく、肥満予防には「血糖の安定」が重要な鍵となる。

トレーナーがクライアントに食事指導を行う際には、総カロリーだけでなく「血糖のコントロール」という視点を持つ必要がある。

発酵食品の代謝的な役割:米こうじの成分に注目

米こうじとは、蒸した米に麹菌を繁殖させたもので、味噌、醤油、日本酒などの製造に用いられる発酵食品である。

この米こうじには、麹菌が作り出す酵素やペプチド、発酵過程で生じるオリゴ糖など、腸内環境や代謝に有用とされる成分が多く含まれている。

これらの成分は、腸内細菌のバランスを整え、血糖値の上昇を緩やかにする作用があると考えられている。結果として、インスリンの過剰な分泌を抑え、脂肪合成を抑制する可能性が示唆される。

単なる「低カロリー食品」としてではなく、「代謝を整える食品」としての特性を理解することが重要だ。

マウス実験が示した米こうじの効果

Yumiko Yoshizakiらが2014年に発表した研究では、高脂肪食を与えて肥満状態を誘発したマウスを対象に、米こうじを摂取させた群とそうでない群を比較した。その結果、米こうじを摂取したマウスでは以下の効果が観察された。

・体重増加が有意に抑制された

高脂肪食を摂取しているにもかかわらず、米こうじを加えた群は体重の増加が緩やかであった。

・内臓脂肪の蓄積が少なかった

腹部を中心とした脂肪の蓄積が抑えられ、中央型肥満の予防に寄与する可能性が示された。

・血糖値の上昇が抑制された

食後血糖値のピークが低くなり、インスリン分泌の過剰反応も抑えられた。

もちろん、この研究はマウスを対象とした動物実験であり、人間での効果は今後の研究が必要だが、米こうじの持つ代謝調整作用が、肥満や血糖管理に役立つ可能性を示すものといえる。

現場での活用法とクライアント指導のポイント

トレーナーがこの知見を現場で活かすためには、次のような視点が有効である。

・食事改善の一環としての提案

味噌や甘酒など、米こうじ由来の食品を食生活に取り入れることで、血糖値の急上昇を防ぎやすくなる。ただし、甘酒の糖質量やカロリーには注意が必要である。

・腸内環境の改善と連動

発酵食品は腸内細菌の多様性を高め、間接的に代謝をサポートする可能性がある。過度なダイエットで腸内環境が乱れたクライアントには有効な選択肢となり得る。

・血糖コントロールを意識した指導

炭水化物(糖質)の質や摂取タイミングを見直す際、米こうじ食品を活用することで、過食防止や脂肪蓄積予防をサポートできる。

・科学的根拠を前提にした提案

動物実験の段階であることを前置きしつつ、血糖や脂肪の調整をサポートする食品として紹介することで、クライアントの理解を得やすくなる。

科学と伝統を味方に、トレーナーの価値を高める

ボディメイクや健康づくりにおいて、運動だけでなく食事の質を整えることは必須である。米こうじのような伝統的な発酵食品も、科学的な視点を持って取り入れれば、血糖や体脂肪のコントロールに役立つ可能性がある。

クライアントの目標達成をサポートするためには、運動と食事の両輪を科学的にデザインできる力が求められる。現場で活きる栄養学を体系的に学びたいトレーナーには、「栄養コンシェルジュ」資格などを通じた学習も有効だろう。

食と科学を味方につけ、クライアントの未来を支えるトレーナーを目指してほしい。

参考文献:Yumiko Yoshizaki et al.PeerJ. 2014 Aug 26:2:e540.Rice koji reduced body weight gain, fat accumulation, and blood glucose level in high-fat diet-induced obese mice

ぜひ一次情報となる論文を調べていただき、皆様それぞれの考察と解釈で科学的根拠(エビデンス)を応用するきっかけになれば幸いです。

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