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減量に成功しても、数ヶ月後には体重が元に戻ってしまう…そんな「リバウンド」に悩むクライアントは多い。だがその原因、実は“筋肉”にあるかもしれない。最新の研究では、減量中に筋肉(除脂肪体重)を失った人ほど、体重が戻りやすいことが示されている。
本記事では、科学的根拠に基づいて「なぜ筋肉を守ることがリバウンド防止になるのか」、そして「現場でどんな栄養・運動戦略を取るべきか」を徹底解説。
減量後に体重が元に戻ってしまう、いわゆる「リバウンド」。この現象は、意志の弱さや生活習慣の乱れだけで起こるわけではない。
研究によると、リバウンドのリスクは“筋肉の減少”と深く関係しているという。つまり、脂肪と一緒に筋肉(除脂肪体重)を落としてしまうと、体はより太りやすくなってしまうのだ。
これは、クライアントの減量指導を行うパーソナルトレーナーにとって、極めて重要な視点である。
減量というと、体脂肪だけが減るようなイメージを持たれがちだが、実際には筋肉も一緒に減る可能性が高い。
体重を減らすには、摂取カロリーを消費カロリーより少なくする必要がある。この「エネルギーの赤字」は、体内の脂肪だけでなく、筋肉(骨格筋)からもエネルギーを引き出すことにつながる。
特に、運動を併用せず、食事制限だけで減量を試みた場合、筋肉の分解が進みやすくなる。
筋肉は基礎代謝(何もしていなくても消費されるエネルギー)の維持に大きく関与しており、筋肉量が減ると「太りやすく・痩せにくい」体になるのだ。
筋肉を維持しながら減量を行うには、「たんぱく質摂取」と「筋力トレーニング」が欠かせない。たんぱく質は、筋肉の材料となるアミノ酸を供給し、筋分解を抑制する効果がある。
たとえば、筋力トレーニングを行っていても、食事からのたんぱく質摂取量が不十分であれば、筋肉の維持は難しい。
国際スポーツ栄養学会は、減量中のアスリートに対し、1日あたり体重1kgあたり2.3g〜3.1gのたんぱく質摂取を推奨している。これは、体重60kgの人であれば1日あたり約140g〜185gのたんぱく質に相当する(例:鶏むね肉約600g〜800g分)。
さらに、エネルギー不足状態では、たんぱく質もエネルギー源として使われやすくなるため、必要量より多めの摂取が求められる。
2022年に発表されたCatia Martinsらの研究では、過去に食事と運動を組み合わせた減量介入を受けた女性を対象に、除脂肪体重の減少量とその後のリバウンドの関係が調査された。
結果は明確だった。減量期間中に筋肉を多く失った女性ほど、その後の1年間で体重が大きくリバウンドしていたのである。逆に、筋肉の減少が少なかった女性は、体重の再増加が抑えられていた。
このことは、筋肉量の維持がリバウンド予防において“守るべき最前線”であることを示唆している。つまり、「見た目の減量成功」だけではなく、「筋肉を維持したうえでの減量」が、本当の意味での成功なのだ。
フィットネスジムでの現場では、「食べないダイエット」を選ぶクライアントも少なくない。しかし、筋肉を落とさないためには、ただ食事量を減らすだけでは不十分である。
以下は、トレーナーが現場で活用できる実践的なポイントだ。
①筋力トレーニングの重要性を伝える
有酸素運動のみの減量は、筋肉量を大きく減らすリスクがある。筋トレの継続こそ、除脂肪体重維持の鍵である。
②高たんぱく食を基本に設計する
1食あたり20〜30g以上のたんぱく質を確保できるよう、食事内容を確認し、必要に応じてプロテイン補助を提案する。
③極端なカロリー制限は避ける
断食(いわゆるファスティング)など極端なカロリー制限では筋肉分解リスクを高める。ダイエット中でも糖質やたんぱく質からエネルギーを減らしすぎないように注意する。
④体重だけに頼らず、体組成の変化を指標とする
インボディや体脂肪率の変化などを活用し、「筋肉を守れているか」を重視した評価を行う。
ただ「体重を減らす」だけのダイエットは、リバウンドという大きな落とし穴を生む。
本当にクライアントが望んでいるのは、見た目の数字ではない。「筋肉を守り、無理なく体脂肪を落とし、健康でいられる体」を手に入れることだ。その未来をつくるのは、トレーニングだけではない。トレーナー自身が、栄養を深く理解し、正しい戦略を伝えられる存在であることが欠かせない。
科学的な根拠をもとに、食事と運動を一体で設計できるトレーナーは、クライアントから圧倒的な信頼を得る。だからこそ、現場で本当に役立つ栄養の知識を身につけることが、今、求められている。
その学びを後押しする手段として、多くのトレーナーが「栄養コンシェルジュ」資格を選び始めているのも、その証だ。
減量の成功は、ただの体重計の数字では決まらない。未来のカラダを守り、クライアントの人生に寄り添えるトレーナーであるために、今こそ「正しく食べること」を学んでほしい。栄養学は、フィットネスの未来を切り開く〝もう一つの筋トレ〟である。
参考文献:Catia Martins et al. Med Sci Sports Exerc. 2022 Dec 1;54(12):2031-2036. Association between Fat-Free Mass Loss after Diet and Exercise Interventions and Weight Regain in Women with Overweight
ぜひ一次情報となる論文を調べていただき、皆様それぞれの考察と解釈で科学的根拠(エビデンス)を応用するきっかけになれば幸いです。
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