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高齢女性において、筋力が高い人ほど死亡リスクが有意に低いことが、米国の大規模追跡研究で報告されました。63〜99歳の女性5472人を約8年間追跡した結果、握力が最も強い群では死亡リスクが約33%低く、椅子立ち上がりが最も速い群では約37%低いという結果が示されました。注目すべきは、有酸素運動の実施状況や日常活動量を調整しても関連が維持された点です。
本記事では、研究の詳細、筋力と寿命の関係、サルコペニアとの関連、そして筋力維持に必要な栄養(たんぱく質摂取量)を公的ガイドラインに基づき整理します。
出典:LaMonte MJ et al., JAMA Network Open, 2026
対象:63〜99歳の女性5472人
追跡期間:約8年
死亡者数:1964人
評価項目:
・握力(利き手)
・椅子5回立ち上がり時間
・四分位で分類し全死亡との関連を分析。
主な結果
・握力最高群:死亡リスク約33%低下
・立ち上がり最速群:死亡リスク約37%低下
体重、喫煙、持病数、炎症、日常身体活動量、座位時間を調整後も関連は維持。
有酸素運動を満たしていなくても関連
週150分以上の有酸素運動(WHO推奨)を満たしていない女性でも、握力が高い群は死亡リスクが低い傾向を示しました。
筋力は単なる“運動量の代替指標”ではなく、独立した予測因子である可能性が示唆されました。
骨格筋は
・糖代謝
・インスリン感受性
・炎症制御
・たんぱく質貯蔵
に関与する代謝臓器です。
加齢に伴う筋量・筋力低下(サルコペニア)は、転倒・フレイル・代謝異常と関連します。
握力は全身筋力の簡便指標として疫学研究で広く使用されています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人のたんぱく質推奨量は体重1kgあたり0.8g/日。
ただし国際的な老年栄養ガイドラインでは、高齢者では1.0〜1.2g/kg/日が望ましい可能性が示唆されています。
例:体重50kgの場合
0.8g/kg → 40g/日
1.2g/kg → 60g/日
差は20g。
筋力維持には運動と栄養の両輪が必要です。
・63〜99歳女性5472人を8年追跡
・握力最高群は死亡リスク約33%低下
・椅子立ち上がり最速群は約37%低下
・有酸素運動量とは独立して関連
・筋力維持には十分なたんぱく質摂取が重要
筋力は“動ける力”ではなく、“生きる力”を示す可能性がある。
この研究を、「筋トレ大事ですね」で終わらせるか。それとも、
・サルコペニアの機序
・推奨たんぱく質量の根拠
・炎症と筋代謝の関係
・エビデンスの階層
まで説明できるか。
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・高齢者栄養
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ニュースを消費する側から、ニュースを解説する側へ。
引用:LaMonte MJ, Hyde ET, Nguyen S, et al. Muscular Strength and Mortality in Women Aged 63 to 99 Years. JAMA Netw Open. 2026;9(2):e2559367. doi:10.1001/jamanetworkopen.2025.59367
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
Q1. 筋力が高いと本当に寿命は延びますか?
関連は示されていますが、因果関係を断定するものではありません(観察研究)。
Q2. 高齢女性はどれくらい運動すべき?
WHOは週150分以上の中強度有酸素運動を推奨。ただし個別判断が必要です。
Q3. たんぱく質はどれくらい必要?
食事摂取基準では0.8g/kg/日。ただし高齢者では1.0〜1.2g/kg/日が示唆されています。
Q4. 握力は自宅でも測れますか?
握力計で簡易測定可能。医療・介護現場でも評価指標として使用されています。