- 食品
卵価格の高騰、新種キノコの発見、食品添加物の回収、機能性食品ブーム。私たちは日々、食材に関するニュースに触れています。しかし多くの場合、それらは「価格」「栄養素」「危険性」といった単発情報として理解されがちです。本記事では、食材を①生物学的背景、②分類・進化、③栄養成分、④機能性成分、⑤供給構造、⑥規制・国際基準という6層で整理します。食材を“点”ではなく“構造”で捉えることで、ニュースを冷静に読み解き、専門性へと昇華させる視点を提示します。栄養とは数字だけではなく、構造で理解することがです。
■ 卵はなぜ完全栄養食品と呼ばれるのか
卵(全卵)100g
エネルギー:151kcal
たんぱく質:12.3g
脂質:10.3g
(日本食品標準成分表2020年版)
卵は「次世代の生命を育てる」ための生物学的構造を持ちます。
そのため、必須アミノ酸がバランス良く含まれます。
アミノ酸スコアは100(WHO/FAO基準)。
これは偶然ではありません。
生物の繁殖戦略が、栄養バランスを決定しています。
■ イカはなぜ高たんぱくなのか
するめいか(生)100g
たんぱく質:17.9g
脂質:0.8g
高速遊泳する頭足類は、筋肉量が多く、脂肪蓄積が少ない。
これは運動様式による生理的特徴です。
→ 生態が栄養を決める。
■ キノコはなぜ低カロリーか
しいたけ(生)100g
エネルギー:25kcal
キノコは植物ではなく真菌類。
細胞壁にβグルカンを含み、脂質はほぼ持ちません。
菌類の推定種数:220万〜380万種(Hawksworth & Lücking, 2017)
近年、DNA解析により種の再分類が進んでいます。
例:
ブンゴツボマツタケの発見。従来マツタケと混同されていた近縁種。
分類が変わると:
・成分分析の再評価
・毒性の再検討
・市場価値の変動
が起こります。
成分表は科学的根拠に基づきますが、平均値です。
変動要因:
・飼料(卵の脂肪酸組成)
・漁獲海域(魚の脂質量)
・品種差(米のアミロース含量)
・季節変動
例:
サンマは季節で脂質が大きく変動。
初秋は脂質が高く、晩秋は減少。
→ 成分は固定値ではない。
例:
・タウリン(イカ・タコ)
・ポリフェノール(ワイン)
・βグルカン(キノコ)
・DHA(魚)
しかし重要なのは、
in vitro → 動物 → ヒト試験
というエビデンス段階。
「含有」≠「効果確立」
卵価格(農林水産省調査)
10個入り平均308円
背景:
・鳥インフルエンザ
・飼料価格上昇
・輸入トウモロコシ価格
栄養価は変わらなくても、価格は変動します。
ワイン添加物問題(クエン酸銅)例:
・チリでは使用可
・日本では未承認
食品安全は
「毒性 × 摂取量」
で評価されます(ADI概念)。
① 生物学
② 分類・進化
③ 成分
④ 機能性
⑤ 供給・価格
⑥ 規制・国際基準
ニュースは上記のどこかの層で起きます。
卵価格高騰
層⑤供給問題
キノコ新種発見
層②分類問題
ワイン回収
層⑥規制問題
単一研究に反応するのではなく、
・どの層の話か
・エビデンスは何段階か
・公的機関はどう評価しているか
を整理できる力。
■ 食材は生物である
■ 分類は栄養理解を変える
■ 成分値は平均値である
■ 機能性は段階評価が必要
■ 価格は供給構造で決まる
■ 安全性は規制と量で決まる
栄養学の資格「栄養コンシェルジュ」では、栄養学の基礎から応用を学べるだけでなく、
・食材の構造理解
・一次資料の読み方
・エビデンス評価
・ニュース解説力
まで体系的に学びます。
情報を“信じる側”から“整理できる側”へ。
参考資料
・日本食品標準成分表2020年版(文部科学省)
・Hawksworth DL & Lücking R. Microbiology Spectrum, 2017
・農林水産省 食品価格動向調査
・食品安全委員会 ADI評価資料
※本記事は公的機関および査読論文に基づいて作成しています。