- メディカル
15〜39歳前後を指す「AYA世代(Adolescent and Young Adult)」。この世代のがんは、医学的にも社会的にも特有の課題を抱えています。
国立がん研究センター中央病院では、AYA世代は小児がんと成人がんの両方の特徴を持ち、さらに進学・就職・妊娠出産など人生の重要な局面と治療が重なる世代であると説明されています。また、厚生労働省も、AYA世代のがん支援体制の整備を重点課題として位置づけています。
本記事では、AYA世代のがんと「栄養」の関係を、一次情報に基づいて整理します。
がん治療では、
・食欲低下
・味覚変化
・体重減少
・筋肉量減少(サルコペニア)
・慢性炎症
が生じることがあります。
ESPEN(欧州臨床栄養代謝学会)のガイドラインでは、体重減少や低栄養が予後と関連する可能性が示唆されています(Arends et al., 2017)。
ただし、
・がん種
・病期
・治療内容
により状況は異なり、一律に断定できるものではありません。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、
体重1kg あたり0.8g / 日
が健康な成人の推奨量とされています。
この値は窒素出納法に基づいて設定され、国際的にもWHO/FAO/UNU(2007)の0.83g / kg / 日と整合しています。
ESPENガイドラインでは、
1.0〜1.5g / kg / 日を考慮する場合がある
と示されています。
これは、
・炎症状態
・筋肉量減少
・代謝亢進
を考慮した値です。
ただし、
・腎機能
・合併症
・個別の栄養状態
により調整が必要です。
「全員が1.5g / kg 必要」と断定できるエビデンスはありません。
AYA世代は15〜39歳前後を指すため、高齢者と比較して、
・筋肉量が多い
・活動量が高い
・基礎代謝が高い
ことが一般的です。
そのため、
急激な体重減少 = 筋肉減少
となる可能性が高く、将来の身体機能に影響を及ぼす恐れがあります。
さらにAYA世代は治療後も数十年の人生があります。
治療期の栄養不良は、
・体力低下
・骨密度低下
・生活習慣病リスク
に関与する可能性があります。
▶ AYA世代(15〜39歳)は、治療と人生設計が重なる特別な世代
▶ 健康成人のたんぱく質推奨量は0.8g / kg / 日(厚労省基準)
▶ がん患者では1.0〜1.5g / kg / 日が検討される場合がある(ESPEN)
▶ 一律の正解はなく、個別判断が不可欠
▶ 栄養は治療の代替ではなく「治療を支える基盤」
現時点で、
「特定のサプリメントががんを改善する」
と断定できる信頼性の高いエビデンスは存在しません。
ビタミンや微量元素は重要ですが、過剰摂取は推奨されません。
AYA世代では、
・今の治療
・治療後の体力
・将来の健康
を同時に考える必要があります。
栄養は単なるカロリー計算ではありません。
代謝、生理、炎症、体組成。
それらを構造で理解することが必要です。
ニュースや制度は日々更新されます。
しかし、
・エネルギー代謝
・体組成
・炎症と栄養
といった基礎構造は変わりません。
ニュートリジェンスでは、
「何を食べるか」だけでなく「どう判断するか」
を重視しています。
今一番選ばれている栄養学の資格 『栄養コンシェルジュ®』では、
・一次情報の読み方
・ガイドラインの解釈
・個別支援の思考法
を体系的に学ぶことができます。
医療や健康の話題を「なんとなく」で終わらせない。それが、専門性です。
【参考にした一次情報】
・国立がん研究センター中央病院(AYA世代がん情報)
・厚生労働省(AYA世代のがん対策・支援体制)
・ESPEN Guidelines on Nutrition in Cancer Patients(Arends et al., Clinical Nutrition 2017)
・日本人の食事摂取基準(2025年版)
Q1. AYA世代とは何歳ですか?
一般的に15〜39歳前後を指します(国立がん研究センター)。
Q2. がん患者は高たんぱく食にすべきですか?
場合によります。ESPENでは1.0〜1.5g/kg/日を検討する場合があるとされていますが、個別判断が必要です。
Q3. たんぱく質 0.8g/kgはがん患者にも当てはまりますか?
0.8g/kgは健康成人の推奨量です。疾患時は異なる可能性があります。
Q4. サプリメントで栄養は補えますか?
不足補助としては有用な場合がありますが、治療効果を保証するものではありません。