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2026年4月から、カシューナッツを含む加工食品のアレルギー表示が義務化されます。この決定は、木の実類アレルギーの中でもカシューナッツによる症例数と割合が増加しているという背景を受けたものです。一方で、今回の制度変更は「表示があればすべて安心になる」という話ではありません。実際には、表示制度だけでは拾いきれないリスクも存在します。
本記事では、制度の概要とあわせて、交差反応という視点から注意点を整理します。
消費者庁の発表により、2026年4月からカシューナッツは食品表示法に基づくアレルギー表示の義務対象となります。
ポイント
・開始時期:2026年4月
・約2年間の経過措置期間あり
・2028年春頃までは、表示のない商品が市場に残る可能性あり
このため、当面は「表示がない=含まれていない」とは限らない点に注意が必要です。
消費者庁の資料によると、
木の実類アレルギー全体の中でカシューナッツの症例数および割合が増加傾向
にあることが示されています。
この状況を踏まえ、従来の「表示推奨」から表示義務へと位置づけが変更されました。
アレルギー反応は、必ずしも「同じ食品」だけで起こるとは限りません。
免疫系が構造の似たタンパク質を誤認識することで、別の食品に反応が出ることがあり、これを 交差反応(cross-reactivity) と呼びます。
ピンクペッパー
ピンクペッパーは黒コショウとは異なり、カシューナッツと同じウルシ科(Anacardiaceae)の植物の果実です。
PubMed掲載の査読論文では、カシューナッツアレルギー患者においてピンクペッパーに反応を示した症例が報告されています。
※すべての患者で症状が出るわけではありません。
柑橘類の「種」
オレンジやレモンの果肉は問題なくても、種を摂取した場合に反応が出た症例報告があります。
特に注意が必要なのは、
・種ごとミキサーにかけるスムージー
・業務用加工で種が粉砕されるケース
です。
ただし、一般消費者における発症頻度を示す大規模疫学データは現時点で存在しません。
そのため、「必ず危険」と断定することはできません。
アレルギー表示制度は、集団としてのリスクを下げるための仕組みです。
一方で、実際の発症は、
・感作の有無
・摂取量
・摂取形態
など、個人差が非常に大きいことが知られています。
つまり、制度が整っても「自分で判断する力」まで代わってくれるわけではありません。
今回のカシューナッツ表示義務化は、「何を避けるか」だけでなく、
・なぜそう判断されたのか
・制度でカバーできる範囲とできない範囲
・科学的に分かっていることと、まだ不確実なこと
を整理して考える必要性を示しています。
ニュースを見て「怖い」「気をつけよう」で終わるか、「どう考え、どう説明するか」まで落とし込めるか。
ここに、知識の差が表れます。
ニュートリジェンスでは、このような食と健康のニュースを、
・煽らず
・断定しすぎず
・一次情報に基づいて整理する
ことを大切にしています。
その背景には、栄養の情報は、正しく扱えてこそ価値になるという考え方があります。
栄養コンシェルジュでは、アレルギーや食品表示のようなテーマも、
・「安全/危険」で二分しない
・不確実性を含めて説明できる
・現場や日常に落とし込める
力を養うことを重視しています。
特別な人だけの知識ではなく、必要な人が、必要な形で判断できるようになるための学びです。
・カシューナッツは2026年4月から表示義務化
・約2年間は移行期間が続く
・カシューナッツ以外にもピンクペッパーや柑橘類の「種」で交差反応が報告されている
・表示制度だけでリスクがゼロになるわけではない
・「理解して判断する力」が、これからますます重要になる
参考にした一次情報
消費者庁:食品表示法・アレルギー表示制度に関する資料
NHK:カシューナッツ表示義務化に関する報道(2026年2月)
PubMed:カシューナッツとピンクペッパーの交差反応に関する査読論文
※柑橘類の種に関する交差反応については、症例報告レベルの情報が中心であり、一般化できる疫学データは現時点で確認できる信頼性のある情報は存在しません。
Q1. カシューナッツ表示義務化はいつから始まりますか?
2026年4月から始まります。ただし約2年間の経過措置があり、2028年春頃までは表示のない商品が流通する可能性があります。
Q2. 表示がなければカシューナッツは入っていませんか?
移行期間中は、必ずしもそうとは限りません。原材料表示の確認が重要です。
Q3. カシューナッツ以外に注意すべき食品はありますか?
査読論文では、ピンクペッパーで交差反応が報告されています。また、柑橘類の種についても症例報告があります。
Q4. ピンクペッパーは黒コショウと同じですか?
異なります。ピンクペッパーは黒コショウとは別の植物で、カシューナッツと同じウルシ科に分類されます。
Q5. 柑橘類はすべて避ける必要がありますか?
果肉自体は問題ない場合が多いとされています。ただし、種を摂取する形態では注意が必要です。