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栄養学を異分野からアプローチ!大人気漫画 “キングダム”にも登場する「東洋医学(薬膳、漢方)」を栄養コンシェルジュがお伝えします

柔道整復師、2ッ星栄養コンシェルジュ®の髙橋宏尚です!
本日は、タイトルにあるように王道の栄養学を学ぶことができる栄養コンシェルジュの栄養学を、異分野の東洋医学という観点から紐解いていきます。

約数千年前から伝承されてきた古人の知恵の中には、自然の摂理と身体の仕組みの共通点や環境(季節や地域)にいかに適応していくのか?という知識と技術がギュッと詰め込まれてきました。
いかにその時代を生き延びるかのノウハウや価値観、考え方から具体的な手法まで含めると、何を大切にして、どんな考えで東洋医学が生まれたのか?これらを知ると、現代を上手く生き抜くための新しい発見があるかもしれません。
東洋医学のプロとして活躍されている方はもちろん、これから東洋医学を学ぼうと考えている方にも読んでいただけると嬉しいです!

そもそも東洋医学ってなんなの?知っておきたい東洋医学

早速ですが、皆さんは三国志漫画『キングダム』でお馴染みの春秋戦国時代の歴史に興味はありますか?

僕は特に三国志が大好きで、漫画でも書物でもゲームでもしっかりと堪能しました (笑)

これら歴史の書物の中にも、傷ついた兵士の回復目的、頭痛や腹痛などの治療に東洋医学を用いられたシーンは山ほどあるのです。

 

実は日本の漢方や薬膳など基礎となる古代中国医学は、今から約3000年前ごろに誕生し、春秋戦国時代に自然哲学思想の「陰陽」や「五行」の思想を取り入れて体系化されてきました。

その後、紀元前3世紀〜紀元後3世紀には理論が確立され、特に約2000年前の前漢時代には「黄帝内経(こうていだいけい)」の原著が成立し、医学的な理論と鍼灸療法の基礎が築かれました。

 

その後、1〜2世紀の後漢時代になると中国最古の薬物学書「神農本草経」が成立し、「傷寒雑病論」などが著され、現代の臨床現場でも活用できる東洋医学のバイブルとして継承されています。

そのバイブルもまだまだ未解明な部分もあり、様々な専門家が古書を研究・分析されています。

自然治癒力を引き出す様々な東洋医科学的手法を栄養コンシェルジュが紹介

さて、東洋医学は身体の自然治癒力を引き出すことで健康状態の維持、向上や起病、未病を含めた改善を目指す伝承医学のことです。

東洋医学には様々な治療法があります。

 

☑ 漢方

植物の根や葉、花、種、鉱物や動物、動物のフン、昆虫などを原料として作られた漢方薬を用いて病気を治療する医学です。

約2,000年の歴史が培った経験と理論に基づいて、様々な漢方薬の処方が確立されてきました。

 

☑ 鍼(はり)・灸(きゅう)

鍼治療や灸治療は、身体に存在するツボと呼ばれるものの一種である「経穴」や、経穴と経穴を結んだ「経路」などを、鍼や灸で刺激して体調を改善する治療法のことをいいます。

※ヒトの身体には約365箇所の「経穴」が存在。経穴と経穴をつなぎ、気や血が流れる通り道となるのが経絡です。

経絡は電車の線路のように複雑に交差しながら身体中に張り巡らされており、その線路上に経穴が存在しています。

つまり、ツボ(経穴)は『駅』で、経絡は『線路』と考えるとわかりやすいかもしれません。

この線路上を「血液」という電車に栄養が乗って運ばれていき、「気」という電気を動力として走っていくのです。

当然、線路が塞がれると電車は止まります。

人の身体で置き換えると経絡、つまり血液循環が悪くなると、栄養と酸素が不足し身体に不調が生じるということになります

 

☑ 手技療法(按摩、指圧など)

道具を用いずに徒手で経穴や経絡を刺激する治療法です。

中国で生まれた按摩(あんま)や、日本で生まれた指圧のほか、体操や運動療法を組み合わせた導引法なども用いられています。

 

☑ 養生法(薬膳、薬草茶など)

健康で長生きする術として生まれたのが養生法です。今でいうセルフケアやセルフコンディショニングの概念と似ています。

毎日の食事や運動、睡眠など誰でも生活習慣の中で取り入れることのできるものとして、病気の予防や病後のケアに役立てられてきました。

薬効のある食材を用いる薬膳や薬草茶なども漢方と別の扱いで用いられています。これら様々な手法を、状態や目的に合わせて使い分けてきたのです。

実際の臨床現場では、目の前の人の状態を評価し、その状態に基づいて相性の良い方法を実践していくことになります。

ちなみに中国はとても広大な土地のため、住んでいる地域や気候、風土などによって中国医学の成り立ちも各々で発展してきました。

例えば、東方の地では、海の近く、魚と塩を多く摂ることから、できもの、腫れ物を病むことが多いことから、鋭い石器で切開する外科療法が発達してきました。

西方の地では山岳地帯で気候が激変する環境のため、その地域に住む人々は衣服を着ずに毛布をまとう生活が主流でした。

美食する傾向が強いために脂肪太りが多くなり、邪が内にこもるために内臓の病気が多く、煎じ薬を用いる治療法が発展しました。

北方の地では、高原で寒さが厳しく、人々は遊牧の民で乳製品を主食としていました。

そのために腹の張る病気が多く、灸療法が発達しました。

南方の地では、高温多湿の平野で人々は酸味のあるものをたしなみ、腑(はらわた)を食することが多い習慣がありました。

そのため体表面に血行障害が起こり、手足がひきつったり、痺れたりするので、身体の表面に浅い鍼治療が行われ発展してきました。

中央部は湿気の多い平原地帯で、人々はいろいろなものを食べ、運動不足の習慣があり、四肢の力がなくなり、冷えやのぼせを生ずる傾向にありました。

そのために運動療法や按摩などのマッサージが盛んに発展してきました。

 

以上のように、生きていく環境をいかに乗り越えるかのために各地域で様々な治療法が発展してきたのです。

【下部PDF参考】

 

では、東洋医学的な評価やどのように薬膳、漢方を用いていくのか?

これらはまた次回以降の記事でご紹介しますね。

1分で身につく毎日の生活で使える薬膳、漢方雑学!

さて、漢方薬でメジャーなのは「葛根湯(かっこんとう)」!

風邪の初期に用いると最も効果的なので、幅広く用いられています。皆さんも葛根湯を飲んだことがある方がほとんどではないでしょうか?

葛根湯には熱を取る作用があり、首や肩凝りなどの改善でも用いられます。

葛根湯は文字通り、葛の根である葛根(かっこん)を用いますが、葛の粉である葛粉(くずこ)も風邪のときには取り入れやすい薬膳食品です。

よく天津飯や酢豚、あんかけ料理に用いられます。でも食べるときに大変なことになりませんでしたか?そう!めちゃくちゃ熱いので、舌を火傷しないように注意が必要ですね。

 

実は葛の主成分はでんぷんです。とろみ成分が多いので熱を保温し続ける力が強くなります。だからアチチとなるわけですね。

これを風邪のときには利用して、葛根湯や葛粉を溶かした葛湯として摂取しています。

つまり、体内に存在する風邪ウイルス対策として発熱した体温を長く保持することで、ウイルス退治のサポートをしているというわけですね。

食欲がない時でも、でんぷん質なので吸収もしやすく、胃腸の負担をかけずにエネルギーを確保できるのです。

昔からお馴染みの葛根湯ですが、葛粉があれば葛湯として活用するのもオススメ!(葛湯にショウガを追加するのもGOOD!)

ぜひ参考してみてくださいね。

【TEXT:髙橋宏尚、編集:廣瀬直樹】

髙橋宏尚【Hirotaka Takahashi】

柔道整復師、医薬品登録販売者、2ッ星栄養コンシェルジュ®など、様々な資格を所有

【プロフィール】
兵庫県宝塚市出身。幼少期からの虚弱体質や家族の死をきっかけに健康増進について興味を持つ。
大学では認知科学(AIや五感、脳機能)を専攻し、IT企業勤務を経て、その後柔道整復師の学校へ入学。
卒業後は福岡県久留米市の整骨院にて述べ3万人以上のトレーニング指導や治療に従事し、2016年に同市内で健康塾を兼ね備えた「創健スタジオSASUKE」を独立開業。
現在は『通い続けない冷え性体質改善専門家』として完全セルフケアによる女性のサポートを展開する。
また、栄養コンシェルジュ協会の登録講師、専門学校での栄養学講師活動に取り組んでいる。
今後は女性や子供たちの食育サポートとなる「健康食堂」、
各農家さんのつくる野菜と人をつなげる「野菜マッチングデリバリーサービス」など、食と人をつなげるプラットフォームを様々な専門家と構築し、誰もが当たり前に健康になれる社会に向けて活動中。