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日本の食料自給率が過去最低37%に… 2025年度の低下要因とコメ消費・食料安全保障を栄養学から解説|栄養コンシェルジュ

2025年度の日本のカロリーベース食料自給率は37%となり、前年度の38%から1ポイント低下しました。過去にも37%となった年度はありますが、小数点以下まで比較すると過去最低です。背景には、国内自給率の高いコメの消費量減少などがありました。一方、生産額ベースの食料自給率は66%で、同じ「自給率」でも指標によって数字は大きく異なります。本記事では、食料自給率37%が何を意味するのか、なぜコメの消費が自給率に影響するのか、輸入依存と食料安全保障の関係まで整理します。食料自給率は農業だけの問題ではなく、私たちが毎日何を選び、何を食べているかを映す数字でもあります。

日本の食料自給率が過去最低37%に|原因・コメ消費・食料安全保障を解説

1.2025年度の食料自給率は37%、過去最低に

農林水産省が2026年8月7日に公表した2025年度の食料自給率は、カロリーベースで37%となりました。

前年度は38%だったため、1ポイントの低下です。

37%となった年度は1993年度、2018年度、2020年度にもありましたが、小数点以下まで比較すると2025年度が過去最低となりました。

政府は2030年度のカロリーベース食料自給率を45%とする目標を掲げています。しかし、日本の食料自給率は2010年度以降、30%台後半でほぼ横ばいの状態が続いています。

一方、同じ2025年度でも生産額ベース食料自給率は66%でした。

ここで重要なのは、「日本の食料自給率は37%」という数字だけを見るのではなく、何を基準に計算した37%なのかを理解することです。

2.そもそも「カロリーベース食料自給率」とは何か

食料自給率とは、国内で供給される食料に対して、国内生産がどの程度を占めるかを示す指標です。

農林水産省では、食料全体を見る総合食料自給率として主に「カロリーベース」と「生産額ベース」の2種類を算出しています。

カロリーベース食料自給率は、1人1日当たりの国産供給熱量 ÷ 1人1日当たりの総供給熱量によって求めます。

2024年度は、1人1日当たり総供給熱量2,248kcalに対し、国産供給熱量860kcalで38%でした。

つまりカロリーベース自給率は、「私たちへ供給される食料エネルギーのうち、国内生産でどの程度まかなえているか」を示す指標です。

ただし、食品の重量割合を示す数字ではありません。

「自給率37%=日本で食べる食品の63%が輸入品」ではないことは、まず理解しておきたいポイントです。

3.なぜコメの消費減少が食料自給率を押し下げるのか

2025年度の自給率低下で、大きな要因となったのがコメです。

公表内容によると、1人当たりの年間コメ消費量は52kgとなり、前年度から1.3kg減少しました。

一見すると、「コメを食べる量が減っただけで、なぜ日本全体の食料自給率が下がるのか」と疑問に感じるかもしれません。

理由は、コメが国内自給率の非常に高いエネルギー源だからです。

農林水産省も、コメは日本国内で自給可能な主要穀物であり、総供給熱量に占める割合が大きいことを示しています。長期的には1人当たりの米消費量がピーク時から半減しており、米消費の減少はカロリーベース自給率を考えるうえで重要な要素になります。

国内生産割合の高い食品から摂取するカロリーが減り、輸入依存度の高い食品から摂取する割合が相対的に増えれば、カロリーベースの食料自給率は低下しやすくなります。

つまり、食料自給率は「どれだけ作ったか」だけではなく、国民が何を食べているかによっても変化する数字なのです。

4.37%と66%、2つの食料自給率が示すもの

2025年度の食料自給率は、カロリーベース:37%に対して、生産額ベース:66%でした。

なぜ同じ日本の食料自給率なのに、これほど数字が違うのでしょうか。

生産額ベース食料自給率は、食料の経済的価値を基準に、国内食料生産額 ÷ 国内消費仕向額で算出します。

例えば、野菜、果物、畜産物などは、重量やカロリー当たりの価格が比較的高いため、生産額ベースでは国内生産の存在感が大きくなります。

一方、カロリーベースでは、コメ、小麦、油脂類など、供給エネルギー量の大きい食品の影響を受けやすくなります。

したがって、「37%と66%のどちらが正しいのか」という問題ではありません。

何を知りたいのかによって、見るべき指標が異なるということです。

一つの数字だけで日本の食料供給を評価しないことが重要です。

5.畜産物の自給率が低く見える理由と「飼料」の存在

食料自給率を理解するうえで、見落としやすいのが家畜の飼料です。

国内で育てた牛や豚、鶏から生産された肉や乳製品であれば、「国産なのだから自給率100%に近いのでは」と感じるかもしれません。

しかし、カロリーベース総合食料自給率では、輸入飼料を使って国内で生産した畜産物について、その輸入飼料に相当する部分は国産として扱われません。

つまり、「国内で生産された食品」と、「国内の資源だけで生産できた食品」は同じではありません。

この違いを補足するため、農林水産省は「食料国産率」という指標も公表しています。食料国産率では飼料が国産か輸入かを問わず、国内で生産された畜産物を国内生産として評価します。

食料自給率を見るときには、食品の産地表示だけでは見えない「生産の背景」まで考える必要があります。

6.食生活の変化と日本の食料自給率

日本の食料自給率は、長期的に低下してきました。

その背景には、農業生産だけではなく、食生活の変化もあります。

日本では戦後、コメを中心とした食生活から、畜産物、油脂類、小麦製品などをより多く利用する食生活へ変化してきました。

ここで重要なのは、これを「昔の食事は良く、現代の食事は悪い」と評価することではありません。

食生活の多様化によって、さまざまな食品を楽しめるようになり、栄養摂取の選択肢も広がりました。

一方で、小麦、大豆、油脂原料、家畜飼料など、海外からの輸入割合が高い食品・原料への依存も大きくなりました。

つまり、現在の食料自給率は、日本人の食生活そのものの変化を反映した数字でもあります。

何を生産するかと、何を食べるか。

食料自給率は、この2つの関係によって決まります。

7.食料自給率の低下は、なぜ食料安全保障と関係するのか

食料を輸入すること自体に問題があるわけではありません。

貿易によって、日本国内では生産しにくい食品を利用でき、年間を通して多様な食生活を維持できます。

一方で、海外への依存度が高くなるほど、国外で起きる出来事の影響を受けやすくなります。

例えば、干ばつや洪水などの異常気象、紛争、輸出規制、国際物流の停滞、エネルギー価格の上昇、為替変動などです。

さらに、日本国内でも農業従事者の減少や高齢化、農地、肥料、飼料、燃料など多くの課題があります。

農林水産省は、食料の安定供給確保には食料自給率だけでなく、国内農林水産業が持つ潜在的な食料生産能力を示す食料自給力の維持・向上も重要としています。

したがって、37%という数字だけで食料安全保障を評価することはできません。

しかし、海外依存度と国内生産基盤について考える重要な指標の一つであることは確かです。

8.「自給率37%=食料の63%を輸入」は正しいのか

結論からいうと、正確ではありません。

カロリーベース食料自給率37%は、供給されるエネルギーの37%が国内生産由来であることを示しています。

食品重量の37%が国産という意味でも、購入食品の金額の37%が国産という意味でもありません。

また、カロリーという指標の特性上、エネルギー量の小さい野菜は大量に国内生産されていても全体への寄与が小さく、油脂や穀類など高エネルギー食品は大きく影響します。

こうした特徴から、カロリーベース食料自給率だけでは日本の食料供給のすべてを表現できません。

そこで農林水産省では、

カロリーベース自給率
生産額ベース自給率
食料国産率
食料自給力指標

など、複数の指標を組み合わせています。

さらに2025年の食料・農業・農村基本計画では、国民の日常生活に必要な熱量を分母とする摂取熱量ベース食料自給率も新設されました。

数字は一つだけを見るのではなく、定義まで理解することが重要です。

9.コメを食べれば食料自給率問題は解決するのか

コメは国内自給率が高く、日本のカロリーベース食料自給率を支える重要な食品です。

そのため、国産米の消費拡大は食料自給率向上に寄与し得ます。

しかし、「食料自給率を上げるために、すべての人がコメをたくさん食べればよい」という結論にはなりません。

栄養学では、食べる人の年齢、体格、身体活動量、健康状態、競技特性、目的などによって、必要なエネルギー量や主食量は変わります。

また、日本の食料安全保障には、コメ消費だけでなく、生産者、農地、飼料、肥料、物流、輸入先の多様化、備蓄など多くの要素が関係します。

個人の栄養と、国全体の食料政策。

両者は関係していますが、同じ問題ではありません。

だからこそ、「国産だから食べる」「自給率が低いからコメを増やす」と一方向に考えるのではなく、個人の健康と社会全体の食料供給をそれぞれ適切に理解する視点が必要です。

10.栄養学から食料自給率を考える意味

栄養学では、食品に含まれる糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを学びます。

しかし、私たちが実際に食べるのは「栄養素」そのものではなく「食品」です。

そして、その食品は農業、水産業、畜産業、食品加工、物流、貿易などを経て食卓へ届きます。

つまり、栄養を現実の生活へ落とし込もうとすれば、食品と社会の関係を切り離すことはできません。

食料自給率37%というニュースからも、

「どの食品が国内で生産されているのか」

「なぜ輸入依存度が違うのか」

「食生活の変化によって何が変わったのか」

「その中で自分は何を選ぶのか」

という問いが生まれます。

栄養学とは「身体に何が必要か」を考える学問であると同時に、その栄養をどの食品から、どのように生活へ取り入れるかを考える学問でもあります。

結論とまとめ

結論|食料自給率37%は、日本の「生産」と「食生活」の両方を映す数字

2025年度の日本のカロリーベース食料自給率は37%となり、小数点以下まで比較すると過去最低を更新しました。

カロリーベース食料自給率は、国内に供給される食料エネルギーのうち、国内生産が占める割合を示す指標です。

今回の低下では、国内自給率の高いコメの消費量減少などが影響しました。一方、生産額ベースでは66%となっており、一つの数字だけで日本の食料供給全体を評価することはできません。

食料自給率を理解するには、コメや小麦などの国内生産だけでなく、輸入飼料、食生活の変化、農業生産基盤、国際情勢まで含めた視点が必要です。

食料自給率は農業だけの数字ではなく、私たちが「何を食べているか」を映す指標でもあります。

「何を食べるか」の背景まで考えられる栄養専門家へ

インターネットやAIに、「日本の食料自給率は何%ですか?」と質問すれば、37%という数字はすぐに得られます。

しかし、栄養や食について人へ伝える専門家に本当に必要なのは、その先ではないでしょうか。

なぜ37%なのか。

なぜコメが減ると自給率が下がるのか。

なぜ国産肉でも輸入飼料が関係するのか。

37%と66%はなぜ両方存在するのか。

そして、その情報を目の前の人の食品選択へどうつなげればよいのか。

数字を覚えるだけではなく、その背景を理解して説明できること。

栄養コンシェルジュ®では、食品や栄養素の名称を暗記するだけではなく、消化吸収、代謝、身体組成など人体の仕組みを基盤に、一人ひとりの目的に合わせて食品を選択・提案する力を学びます。

また、独自の食品カテゴリーマップ®を活用し、食品を「身体に良い」「悪い」と単純に評価するのではなく、主な栄養学的役割を整理しながら実際の食生活へ落とし込みます。

食料自給率についても、

「国産だから良い」

「輸入だから悪い」

という二択ではありません。

その食品がどのような特徴を持ち、誰が、何のために、どの程度必要としているのか。

さらに、その食品がどのような社会の仕組みの中で食卓へ届いているのか。

栄養の専門家には、身体と食品、そして生活をつなげて考える力が求められます。

AIによって「答え」が簡単に見つかる時代だからこそ、答えの意味を理解し、目の前の人に使える情報へ変換できる力を。

栄養を一生使える実践力に変えたい方は、栄養コンシェルジュ®で体系的に学んでみてください。

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参考文献・公的資料

農林水産省.食料自給率とは.総合食料自給率、品目別自給率、食料国産率、摂取熱量ベース食料自給率.

農林水産省.食料自給率・食料自給力について.

農林水産省.食料・農業・農村基本計画.2025年4月11日閣議決定.

農林水産省.米の消費拡大について.2026.

農林水産省.日本の食料自給率.

※2025年度の食料自給率37%、生産額ベース66%、コメ消費量などの2025年度概算値については、2026年8月7日に農林水産省が発表した内容を基にしています。食料自給率の定義・算定方法については農林水産省公表資料を参照しています。

FAQ(よくあるご質問と回答)

Q1.2025年度の日本の食料自給率はなぜ37%まで下がったのですか?

2025年度のカロリーベース食料自給率が37%まで低下した主な要因の一つは、自給率の高いコメの消費量が減少したことです。国産米から得られる供給熱量が減ると、国内生産由来のカロリー割合が低下するため、全体の食料自給率も押し下げられます。

Q2.食料自給率37%は、日本の食料の63%を輸入しているという意味ですか?

いいえ。食料自給率37%は、食品の重量比や輸入量の割合を示す数字ではありません。 カロリーベース食料自給率は、国内に供給される食料エネルギーのうち、国産食料から供給されるエネルギーが占める割合を示します。

Q3.カロリーベース37%なのに、生産額ベースでは66%なのはなぜですか?

評価する基準が異なるためです。 カロリーベースは食料から得られるエネルギー量を基準にし、生産額ベースは食品の経済的価値を基準にします。野菜や果物、畜産物などはカロリーへの寄与が小さくても価格が高いため、生産額ベースでは国内生産の割合が高くなりやすくなります。

Q4.食料自給率が低いと、日本の食料安全保障にどのような影響がありますか?

食料の海外依存度が高いほど、紛争、異常気象、輸出規制、国際物流の混乱、為替変動など国外の影響を受けやすくなります。 食料自給率は食料安全保障を考える重要な指標の一つですが、農地、担い手、備蓄、輸入先など他の要素も合わせて評価する必要があります。

Q5.日本の食料自給率を上げるには、コメをもっと食べればよいのでしょうか?

国産米の消費拡大は食料自給率の向上に寄与しますが、コメを食べるだけで問題が解決するわけではありません。 農地、生産者、飼料、肥料、物流、輸入先、国内生産力など多くの要素が関係します。また、個人の主食量は健康状態や活動量に合わせて考えることが大切です。

Q6.栄養コンシェルジュ®はどのような栄養資格ですか?

栄養コンシェルジュ®は、身体の仕組みを基盤に、食品や栄養情報を一人ひとりに合わせて活用する力を学ぶ実践型の栄養資格です。消化吸収、代謝、身体組成などを理解し、「何を食べるか」だけでなく「なぜその食品を提案するのか」を考える力を養います。

Q7.栄養コンシェルジュ®は他の民間栄養資格と何が違いますか?

大きな違いは、特定の食品や食事法を覚えるのではなく、身体の仕組みから栄養提案を組み立てる点です。消化吸収や代謝などを根拠に、対象者の身体状況、活動量、目的、生活背景に合わせて食品選択や栄養戦略を考える実践力を重視しています。

Q8.食品カテゴリーマップ®を学ぶと、栄養指導にどのように役立ちますか?

食品カテゴリーマップ®を学ぶことで、食品を「身体に良い・悪い」ではなく、主な栄養成分や役割から整理して考えられるようになります。 数多くの食品を7つのカテゴリーに整理し、対象者の目的に合わせた食品選択や食事提案へ活用する栄養コンシェルジュ®独自のツールです。

Q9.管理栄養士やトレーナーなど、すでに専門資格を持つ人にも栄養コンシェルジュ®は役立ちますか?

はい。既存の専門知識を、説明・判断・個別提案へつなげる学びとして活用できます。 管理栄養士、医療従事者、パーソナルトレーナー、運動指導者などが、代謝や身体機能の知識を整理し、現場での栄養コンサルティング力を高める目的で学ぶことができます。

Q10.AIで栄養情報を調べられる時代に、栄養コンシェルジュ®を学ぶ意味はありますか?

AI時代だからこそ、情報の意味を理解し、目の前の人に適切に使う判断力が重要です。 AIは食料自給率や栄養素の数値を提示できますが、「その数字が何を意味するのか」「その人にどう活用するのか」を判断するには、身体と栄養を体系的に理解する必要があります。

栄養コンシェルジュ®のカリキュラムは、医学博士、医師、管理栄養士、調理師、臨床検査技師、臨床心理士、オリンピックメダリストなど、多分野の専門家が「現場で本当に役立つ栄養学」を目指して共同開発しました。知識の習得だけでなく、一人ひとりに合わせた実践力を養うことを重視している点が、多くの専門職から支持される理由の一つです。

栄養コンシェルジュ®は資格取得後も年会費・更新費が無料です。毎月の無料サロンで学んだ内容の復習、現場での疑問や悩みの共有・相談、 最新の栄養情報や考え方のアップデートができます。 資格を「取って終わり」にせず、学び続けられる・つながり続けられる環境として、多くの取得者に活用されています。

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日本栄養コンシェルジュ協会理事であり、北京オリンピック男子4×100mリレー銀メダリストの朝原宣治さんも栄養コンシェルジュ®を取得されています。競技生活で培われた経験に加え、栄養学を学び続けるその姿勢は、多くのアスリートやスポーツ指導者にとって大きな刺激となっています。現在では、競技力向上やコンディション管理を目的に、アスリートはもちろん、選手を支えるトレーナーやご家族などにも学びの輪が広がっています。

食品カテゴリーマップ®は、一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会が開発した公式ツールです。 食品を「最も多く含まれる栄養成分」によって7つのカテゴリーに整理し、難しい栄養学をシンプルに理解できるよう設計されています。
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