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給食で問われる「実践栄養学」|SANKO E-1グランプリから考える、これからの栄養士教育

給食は、ただ栄養価を満たせばいい食事ではありません。誰が、どんな環境で、どんな一日を過ごすのか。その背景まで想像して初めて、献立は生きた栄養になります。2025年12月20日、三幸学園主催の「SANKO E-1グランプリ」では、専門学校生だけでなく高校生も参加し、給食をテーマにした献立・調理・プレゼンテーションに挑みます。この大会が示しているのは、「知識を覚える栄養学」から「現場で機能する栄養学」への転換。なぜ今、給食というテーマが選ばれたのか。なぜ審査には“現場を知る栄養のプロ”が求められるのか。
本記事では、E-1グランプリを通して見えてくるこれからの栄養士教育の本質を、実践の視点から紐解いていきます。

給食は、なぜ栄養士教育において重要なのか

給食は、栄養士にとって最も総合力が問われる分野のひとつです。

栄養価計算はもちろんのこと、

・対象者の年齢・生活背景

・食べやすさ・嗜好・文化

・調理現場での再現性

・継続可能なコスト・運営

といった、「机上の栄養学だけでは解決できない要素」が数多く含まれています。

そのため給食は、栄養学・調理学・衛生管理・コミュニケーション力を統合した実践栄養学の集大成とも言える分野です。

日本栄養コンシェルジュ協会の講師が審査に関わる意味

本大会では、一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会 講師・管理栄養士の廣瀬直樹先生が社員食堂部門の審査員を務めます。

※廣瀬先生は病院管理栄養士として治療食作成をはじめ、料理教室・離乳食教室や調理師など食のプロへの指導経験が豊富です。

日本栄養コンシェルジュ協会では、「栄養を知っている人」ではなく、「栄養を使いこなせる人」の育成を重視してきました。

審査においても、単なる正解・不正解ではなく、

・その献立は、誰のためのものか

・現場で本当に提供できるか

・食べる人の行動や意識をどう変えるか

といった視点が重要になります。

これは、日々の栄養指導や食事設計の現場で求められる視点そのものです。

高校生部門が示す「学びの入口」

今回のE-1グランプリの特徴のひとつが、高校生部門の実施です。

高校生の段階で、「献立を考え、調理し、伝える」という経験をすることは、将来の進路選択や学びの質に大きな影響を与えます。

高校生 → 専門学校・大学 → 現場

この学びの流れを早い段階から体験できることは、これからの栄養士教育において非常に意義深い取り組みだと言えるでしょう。

大会の様子はライブ配信でも視聴可能

当日の様子は、

☑ 辻学園栄養専門学校

☑ 小田原短期大学

それぞれの公式Instagramアカウントにて、インスタライブ配信で視聴することができます。

現地に足を運べない方も、学生たちのプレゼンテーションや学びの現場をリアルタイムで体感することが可能です。

栄養士教育の「これから」を考える

栄養士に求められる役割は、年々変化しています。

正しい知識を持つだけでなく、社会や現場の中で機能する栄養をどう届けるか。

SANKO E-1グランプリは、その問いに対する、教育現場からのひとつの答えでもあります。

ニュートリジェンスでは今後も、栄養教育・現場・人をつなぐ取り組みに注目し、実践に活かせる栄養情報を発信していきます。

Nutrigenceスタッフ

栄養や健康に関する最新情報をお届けするメディアサイトNutrigence®(ニュートリジェンス)スタッフです。